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ハーレム?25 新ろだ2-133 流れとしてはここのリンク先の一番上です。が、似て異なる作品であることに注意してくだされ。 この流れに白蓮さんとなぜだかゆゆ様を追加した状態で。 ttp //www15.atwiki.jp/orz1414/pages/372.html (編者注:うpろだ1278 新wiki ttp //www26.atwiki.jp/propoichathre/pages/1301.html15の一番上) 「突然だけど、あなたに大役を与えるわ」 何ですか? 「ここに集まった人妖全てのスキル・コーディネートを行う権利よ!」 スキル・コーディネート?スペルカードとは違うんですか? 「スペルカードはみんなの攻撃手段であり、個性付けにも役立っているのだけれど、スキルは対象の 存在に情報量を追加することで、より個性を深めていくための手段なのね」 そうすることでどんなメリットがあるんだろう? 「例を挙げて説明するわ。例えば魔理沙のマスタースパーク、確かに高威力だけど高燃費でしょう? 考えもなしに撃ち続けるのは問題外として、どれだけ計画的に使ってもいつかは魔力が切れてしまう」 すぐに回復できるような代物でもないしね 「そこで魔力を制御し、効率よくすることで消費を抑えられるスキルを与えればどうなるかしら?」 抑えた分は余計に撃てるようになりますね 「他にも、霊夢が使う針とか護符とかも効率よく使えるようにして、消費量を抑えたりできる」 なるほど、それは分かりやすいです。他にはどんなのがあるんですか? 「テンションを恒久的に上げたり、被弾時のダメージを抑えたりするスキルもあるのよ」 固有の特徴を追加したり、強調する事も出来るんだ…管理とかはどうしたらいいんですか? 「基本的にスキルは身につけただけですぐに能力を発揮するから、気にしなくて大丈夫だよ」 暴走したりしないのかと不安だったんですよ。それなら大丈夫ですね 「更にスキルは追加後も増強していくことが出来ます。極めればかなりの戦力になりましょう」 ということは、スキルを追加してそれっきり、とはいかないですね。深いな… 「不要なスキルは上書きできますが、それまで増強した分も失いますから気をつけてくださいね」 考えもなく取り替えは危険だってことだね。気をつけるよ みなさんのおかげで大体は分かったんですが、それでどうやってコーディネートするんですか? 「あら、そんなの決まってるじゃない」すっく !? 「あなたがしたい少女に(閻魔様の検閲に引っ掛かったため削除)でコーディネートなんてお手の物よ」ずい <紫、謀ったわね!あんた、抜け駆けする気満々じゃないの!このヒキョー者! 「私を使って、今のうちに練習しておいた方がいいんじゃない?今ならお得よ…色んな意味で」ずずい <パチェ、居候のクセに館の主を出し抜こうなんていい度胸してるじゃない! 「ほらほら、遠慮はいらないわよ~。こんな私だけど、存分に練習してちょうだいな」ずずずい <幽々子様やめてください!こんなところで、は、はしたないですっ! 「大丈夫だ、何も心配はいらないぞ…寺子屋で教えてたように一から教える」ずずずずい <何それ、慧音ずるい!それは職権濫用だぞー!この破廉恥教師! 「真に天才なら、他者に対しての教え方も上手じゃないとね。では」ずずずずずい <師匠、それフライングです!輝夜様も何とか言ってください! 「ケロちゃんは子育て上手ってね、えへへ…さ、しよう?」ずずずずずずい <諏訪子、どさくさにまぎれて何してる!?似合わんだろ!? 「さぁ、あなたの知識の世界を光で満たしましょう」ずずずずずずずい <聖、煩悩まみれじゃない!隣で一輪が泣いてるわよ!? 「私も…記憶と違いますから、気軽にどうぞ」ずずずずずずずずい <阿求、あんたその前に非戦闘員でしょー!? 「さぁさぁ」「思い切って」「遠慮せずに」「迷うことなく」「存分に」「やっちゃいなさい」「どうぞ」「ご自由に」 あーれー 「お前ら、無駄に高い戦闘力を強調するなぁー!それとそこのお前らもこっそり参加しようとするなぁぁー!」 「う゛っ」 「はぇ?」 「ばれてしまいましたか」 「魔理沙、大声出してみっともないからやめなさい」 「アリス、お前もやろうとしただろ?」 「う゛っ」 結局、練習させてもらいました。 「したんかい!」 後書き スキル・コーディネートって、考え方次第ではエロい。 新ろだ2-182 風邪をひいてしまった 仕事での疲れがたまってたのだろうか、 ここのところ天気が不安定だったせいもあるだろう。 朝、迎えに来た職場の同僚に治るまで休むと伝えて布団にもどる。 病気の時は安静にしてるのが一番いいし、体を動かす気にはなれない。 昼になるころ、誰かが訪ねてきた。 しかし今自分は病人、客人にうつすわけにもいかない。 少し億劫だが、布団から出て玄関まで行き、今日のところは帰ってもらおうと思ってドアを開けた。 「あ……こんにちは、○○さんが風邪をひいたと聞いて……」 「それでお見舞いにね」 そこにいたのは妖夢さんと咲夜さんだった。 「あーこれはどうも、でもそんなにひどいわけじゃないですし、風邪がうつっちゃったら悪いですし……」 「人の心配より自分の心配したほうがいいですよ。顔色もだいぶ悪いです」 「どうせまだろくに朝ご飯も食べてないんでしょ。ほら、そのために私たちが来たんじゃない」 二人に押されて、布団に戻される。 横になっている間、妖夢さんは水枕を準備してくれて、咲夜さんは台所でなにやら料理を作っている。 本音を言うと二人が来てくれて助かった、一人だったら体を動かすのがだるくてまともな食事はしないだろうし、何より自分以外の人がいるだけで大分安心できる。 「○○さん、水枕持ってきましたよ」 枕を水枕と交換する。ああ、冷たくて気持ちいい。 「今、咲夜さんが卵粥をつくってます、たぶんもう少ししたらできると思いますよ。 ちょっと、失礼します」 と言って妖夢さんの手が額に当てられる。妖夢さんの手は思ったより冷たくて熱がある体にはとても心地よかった。 「妖夢さんの手……ひんやりしてて……大分楽になった感じがするよ」 「そ、そうですか……、だったら……」 そういって妖夢さんは両頬を自分自身の両手で包みこむようにする。 火照った感じが和らいだと思ったら、妖夢さんの顔が若干赤くなっている。 「妖夢さん……?」 「あっ、いえ、そのっ……」 慌てふためく妖夢さん、その頬はどんどん赤みを増していってる、大丈夫だろうか……。 そうこうしてるうちに咲夜さんが鍋を持って出てきた、卵粥ができたらしい。 茶碗によそって三人で卵粥を食べる。 のかと思いきや、なぜかお粥を掬った蓮華が目の前にさし出されている。 「あの、流石にそれくらいは自分でできるんですけれど……」 「こういうときくらい、こっちに甘えときなさい」 言われるがまま、咲夜さんに食べさせてもらう。 お粥の味付けはとても上手で、流石メイド長といわんばかりだった。 「このお粥美味しいな、これなら病気じゃなくても食べたいな」 「言ってくれれば作るわよ、お粥だけじゃなくてほかの料理も」 なんだかんだでお粥全部咲夜さんに食べさせてもらっていた。 その間、妖夢はチラチラとこっちを見てくるし、咲夜さんは笑顔で蓮華をさしだす。 しかし、二人とも顔が赤くなっていたのはどういうことなんだ……? 後日、完全に回復した○○のもとに紅魔館のメイド長と白玉楼の庭師が度々訪れることになるのはもっと後の話…… 新ろだ2-329 永遠亭。 その廊下を○○がぺたりぺたりと歩いていた。 むず痒そうな顔を浮かべ、時折耳の奥に小指を突っ込んでいる。 彼は探し物をしていた。 探し物即ち、耳掻き棒である。 もはや耳の奥の違和感は頂点に達している。 このままでは満月光線を浴びずとも発狂に至ってしまう。 先程、通りかかったイナバの一人に耳掻きを貸してくれないかと拝んだ○○だったが。 にこやかに差し出されたのは、イナバ御用達耳掻き棒(ウサミミ用ビッグサイズ)。 顔で笑って心で泣いて「ありがとなー、けどそれ俺にはちょっと大きいかなー」とその場を後にしたのである。 限界かと思われたそのとき、進退窮まった○○の目の前に救いの女神が現れる。 女神のウサミミはへにょりと垂れていた。 「……鈴仙!」 「あれ、○○。どうし……ひゃわあっ!」 曲がり角から現れた鈴仙。 名前を呼ばれ、振り向くその小さな両肩を逃がすまいと抱きしめる。 「鈴仙、頼みがあるんだ聞いてくれ。もう、お前だけなんだ」 「んなっ、なっ、そんな、急に……」 切羽詰った表情で正面から見つめる。 狂気の瞳も知ったことではなかった。 なにせ耳奥の異物感は、既に脳に届かんとしている(ように感じた)のだから。 狂うというのなら、とっくのとうに彼はイカレている。 「もう我慢できない。お願いだ。俺と、俺に――」 「あう、あうあうあうあう……」 視線を彷徨わせ、口をあわあわと動かす鈴仙。 彼にここまで真剣な目で、真正面から見つめられたのは初めてであった。 赤面してうろたえるその様は初々しくて、とてもよい、が。 彼は残念ながら、真に残念ながら、それどころではなかった。 「俺の――耳掃除をしてくれ!」 「わ、私も――って、へっ?」 何かと台無しではあったが。 彼は彼なりに限界だったので、致し方ないところである。 鈴仙の自室。 あの後、ぷりぷりとお怒りになった鈴仙だったが、それでもちゃんと耳掻きを用意してくれた。 竹製で後ろにポンポンの付いた、何ら変哲の無い耳掻き棒。 それを「はい」と彼に手渡したところ、そっくりそのまま「はい」と返され、小首を可愛らしく傾げた。 「……え?」 「耳掃除、してください」 「……私が?」 「鈴仙が、膝枕で」 「なんかオプション付いてるし!」 なるほど、彼女にしてみればそれは付加価値かもしれない。 しかし、彼にとっては、いやさ男にとっては耳掃除と膝枕というのは表裏一体、セットのものであるのだ。 「というわけで、さあ!」 「なんでこんなに活き活きしてるんだろう」 まるで水を得た魚のようだった。先程まで悶え苦しんでいた人物とは思えない。 しかし呆れつつも最終的には「しょうがないなあ」とばかりに膝を明け渡す彼女も大概であった。 しょうがないのは何だかんだで押しに弱い鈴仙の方であって、彼にいたっては「どうしようもない」というのが正しい。 「では、お邪魔します」 「はいはい……。ひゃ、っぅ」 一礼して太腿の上にやってきた重みと温もりに、思わず声を上げかけた。 彼の体温を常に感じることになるという状態に今さらながら気付いた鈴仙だったが、時既に遅しである。 喉元までせり上がってきた悶え転がりたくなるような衝動をどうにか飲み下し、深呼吸一つして耳掻きを手に取った。 「ああ、俺の敏感な穴に、鈴仙の固く聳え立つ棒が……」 「変なこと言わないでよ!」 彼の冷やかしに平静を取り戻したという事実がなんともやるせない。 「おふぅ、天にも昇る心地とはまさにこのことか……」 「地底から下界に復帰した程度だと思うなあ」 始まりこそ波乱を匂わす耳掃除だったが、思いのほか滞りなく進んでいた。 最初はおっかなびっくりといった体だった鈴仙の手際も、丁寧さはそのままに気後れが消えている。 ちまちまと耳垢をこそぎ落とし、横に置いた懐紙に捨てる。 どうにも神経を使う作業であるはずのそれだが。 (なんだか、楽しくなってきたかも……) 鈴仙の方こそいたく気に入ってしまったらしい。 もともと細かい作業はそれほど苦にしない性格だが、それ以上にこの姿勢が彼女にとって都合が良かった。 至近にある彼の顔は、しかし横を向いている。 だというのに寂しさを感じないのは、彼の耳が文字通り彼女の方に傾いているからか。 視線こそ交わらないけれど、そこには確かに交感があった。 それに、気恥ずかしさも覚えず彼の横顔を凝視できるというのも良い。 おまけに自分の手管一つで男を蕩けさせるという行為が、どうしようもなく女としての矜持をくすぐるのだ。 「もう、ちゃんと綺麗にしておかなくちゃダメだよ?」 「じゃあこれからも鈴仙にしてもらうことにしよう」 「また調子いいこと言ってー」 字面こそ苦言を呈しているものの。 実際、彼から見えぬ彼女の顔は、思いっきり緩みきっており。 今にも「えへへぇ」などと言い出さんばかりのニヤケ顔であった。 両者にとって至福の時が暫し続き、経過でいえば片方の耳が綺麗サッパリ掃除されつくした頃合。 鈴仙が未練がましく耳のくぼみなどを擦っているとき。 ふと、彼のなかで悪戯心が首をもたげた。 今、自信が枕にしている彼女の太腿。 膝枕と呼ばれつつも、実際に頭を乗っけるのは太腿。 包み込むような温もりを持ちつつも、ハリと弾力を兼ね備えるコレ。 触ってみたらどうなるかなー、と。 っていうか、既に頭を乗せてるくらいだから、手を滑らせても全然問題ないよねー、などと。 思ったが早いか、次の瞬間には実行に移していた。 「──ひぃう!」 つつーっと。太腿の表面を指で線を描くようになぞったところ、効果は覿面だった。 先程までフニャフニャしていた彼女の背筋が一気にピンと伸びる。 耳掻き棒を突き立てない辺りは大したものだが、このときはそれが裏目に出た。 即ち、さらなる侵攻を許してしまうことになったのだ。 「ちょっ、ちょちょちょっ!」 「おお、良い反応。じゃあこの辺はどうかな?」 「ひゃあああああ!」 つるりとした膝頭に五指を這わせ、それを中央に向かって窄めたり、また広げたり。時には回転も加えたり。 「なに! なんなの! なんでこんなことになってるの!」 「いやあ、長いこと膝枕させっぱなしだから? 足の一つも痺れてるかなあと。だもんでマッサージなど」 「いい! いいから、そんなのいいから──」 「イイんですね。わかりました、もっとやります」 「ちが、っくぅううううん!」 なんだか愉しくなってきたぞう、とばかりにエスカレートする彼の指技。 足を組んで座ることで普段より量感を増した太腿、それに深く指を押し当て、芯を揉み解すようにバイブレーション。 さらには指をふくらはぎにまで這わせたり。挙句の果てに足首からくるぶし、足の裏にまで手を伸ばしてみたり。 水魚どころか、滝を登る鯉。雲を泳ぐ龍。縦横無尽にして傍若無人の如き指使いは、留まるところを知らなかった。 そして数分後。 そこには頬はおろか、着崩れたブラウスから除く胸元まで赤く染めて、息も絶え絶えな鈴仙の姿が。 「なにこれひわい」 「はぁっ、はぁっ……く、ふぅー、ふぅーっ。ん、んんっ!」 彼の軽口に応ずることすら今の彼女には不可能であった。 時折、思い出したかのようにピクピクと身悶えする様がなんともskmdyである。 しかし一方で○○は己のしでかしたことに今さらながら後悔していた。 日も高いうちから調子に乗りすぎた結果がこれだよ! 後悔先に立たず、立つのは死亡フラグばかりなり。 怒った鈴仙の細腕にポカポカ殴られるのは日常茶飯事のことなのだが。 俯いたままの彼女の表情は窺い知ることができず、荒い息を吐きつつも沈黙を保ったままなのが不安をかきたてる。 因みに、もはや膝枕などという名目は明後日の方向にすっ飛んで入るが、彼の頭は汗ばんだ彼女の太腿に乗せられたままだったりする。 彼は自身の交渉術における基本にして唯一の手段、『DOGEZA』を行使すべく起き上がった。 が。 両肩を押さえつけられ、再び太腿にダイブする。 「おおっと」 「っ…………」 そして有無を言わさず頭を横に向けられる。 原点回帰。振り出しに戻る。それは最初と同じ姿勢だった。 耳に手を当てられ、覗き込まれる。鈴仙が傍らに取り落としていた耳掻き棒を再び握る気配があった。 「えーっと、鈴仙? 鈴仙さん?」 鬼気迫るといった雰囲気を匂わせる鈴仙に、○○の背筋を冷たいものが走る。 まさかこのまま必殺仕事人よろしく、耳掻き棒を急所に突き立てられ亡き者にされてしまうのか。 戦慄する彼の耳に、蚊の鳴くような声が届いた。 「…………から」 「え?」 あんなことするから、とでも責められるのかと彼は思った。 いや全くその謗りは甘んじて受けるべきものでもあるのだが。 「まだ、片っぽしか、終わってない、から」 一語一語噛み締めるように、彼女は再びそう言った。 なるほど、同じ姿勢と思いきや、顔の方向が逆である。 しかし、あんなことをしておいて、それでもまだ一方的な頼みを聞いてくれる余地があるものだろうか。 そう疑問に思う彼に、「だから」と、彼女は続ける。「だから」。 「ぜったい、ぜったい、動いちゃダメなんだからね……?」 囁かれた言葉は、警告というには余りに甘ったるくて。忠告というには余りに蕩けきっていて。 柔らかい声音のはずなのに、ヤスリのように彼の思考をゴリゴリと削り。 先程凍えたはずの背骨を、内から融かす熱が走る。 もはやそれは、彼には『おねだり』にしか聞こえなかった。 その言葉に後押しされるように、おずおずと、だが明確な意思を込めて、彼の手が再び蠢き始める。 すべすべとした肌はうっすらと汗を浮かべ、まるですいつくようなさわり心地。 そして、先程は彼も流石に遠慮した部分、スカートの内側、その裾に指先が触れる。 小さく息を呑んだ鈴仙だったが、潤んだ瞳の焦点をなんとか合わせて、彼の耳に耳掻きをあてがう。 奇妙なシンクロを生み出しながら、彼の指と彼女の耳掻きはゆっくりと先に進められ──。 「話は聞かせてもらったわ! バカップルは滅亡する!」 「んっきゃあああああっ!」 「ギャアアアアアアア!」 次の瞬間、訳のわからないことをのたまいながら、永遠亭の主、輝夜が襖を開け放ち参上した。 もちろんメガネはない。 思わぬ、そして計ったかのような彼女の出現による被害はまさしく甚大。 あれだけの彼の暴挙においても、遂には振るわれることが無かった鈴仙の持つ耳掻き棒は、狙い過たず彼の耳の穴を穿ち。 その痛みに○○は鈴仙の膝から転げ落ち、片耳を押さえて悶え転がり回ることになった。 「姫様のそれは犯行声明だと思うな。滅亡させるぞー、みたいな」 「私にだって……治せないものくらい……ある、のかしら?」 「んじゃ、お師匠様。そこの大回転馬鹿は?」 「既にして、良い薬よ」 続いて、てゐと永琳が益体もない事を駄弁りつつ、のたのたと侵入してきた。 先程までピンク色だった空間が、あっというまにグラウンド・ゼロである。 先の一打は露払いにしか過ぎない辺り、救いようも無い。 「さて」 上座ではなく出入り口のすぐ近くに陣取る輝夜。マナーが如何こうではなく、単純に逃げ道を塞ぐためだ。 お姫様からは逃げられない。選択肢が『はい』しか無いのだから。 「二人とも。随分と、ずううういぶんと。楽しそうだったじゃない?」 片胡坐をかき頬杖を付いた輝夜は、粘着質な態度と声色でそう言った。 投げ掛けられた二人、○○と鈴仙は正座である。言うまでもなく、言われるまでもなく。 「鈴仙がエロ可愛くてすっっっごく愉しかったです」 「ちょっ、ばっ」 慌てて彼の口を塞ぐ鈴仙だったが、そもそも誤魔化すどころか、既にモロバレしていることは明らかなので無駄である。 部屋の中が物騒な気配で飽和状態となったところで、輝夜はフンスと荒く鼻息をついた。 「……まあ、いいわ。イナバがあざといのは今に始まったこっちゃないし」 酷い言われようだと鈴仙は思ったが、口には出さない。寧ろ出せない。 そんなことより、と彼女は続ける。 「そんなことより! あんた達だけ面白そうなことするなんて許されないんだから!」 高高と宣言し、ドサクサに紛れて奪い取った耳掻きを彼にズビシと突きつけた。 「というわけで、○○。いらっしゃい。おいで。来い」 指名された彼はむむむと一唸りして。 「それはつまり、俺が姫のフトモモを撫で回すということで……」 「そっちじゃねーよ」 両手をワキワキとさせたところで、近くに居たてゐに頭を引っ叩かれた。 ついでに鈴仙にわき腹を抓られた。 「じゃあ、姫が俺の下半身を弄り回すんですね!」 「あら、それもいいかも──いたいいたい、痛いから、永琳やめて痛いから」 満更でもなさそうな輝夜の顔を、永琳のアイアンクローがギリギリと締め付ける。 穏やかな笑みを浮かべたまま、輝夜の顔を鷲掴んだまま。彼の方を振り向いた永琳は、表情一つ変えずに言った。 もしくは命令した。 「○○、Go」(※意訳:輝夜が余計なこと思いつく前にさっさと済ませなさい) 「いえす、まむ」 有無を言わせぬ迫力であった。 のっそりと立ち上がった彼を、切なげな表情で見やる鈴仙。 思わずといった感じで、己から離れ輝夜に歩み寄る彼の服の袖を掴もうとしたが。 腰を上げかけたところで何かに気付いたように凍りつく。 次の瞬間、頭から湯気を立ち上げんばかりに赤面して、先程よりよっぽど緊張したようにその場で座りなおした。 不思議なこともあったものである。 「……鈴仙さぁ……」 「お願い何も言わないでお願いだから」 「いや、言わないよ? っていうか言えないし。けど、ねぇ?」 「うううう、○○のバカぁ……」 そんなことは露知らず、解放されたこめかみを押さえる輝夜の前によっこらせと座った。 のらりくらりと回避を試みた彼だったが、正直なところ、輝夜の膝枕に惹かれないかといえば嘘になる。 姫様のお膝元なのだ。そもそも彼女に何かをしてもらうという時点で既に希少なのだ。 逆のパターンならともかく、そのレア度は、言っちゃ悪いが鈴仙の膝枕とは確たる差があるだろう。 「あー、割れるかと思った……。じゃあ、ホラ。許可するわ」 「失礼しまーす、っと」 態度こそ気安いものの、姫と扱われることは伊達ではない。 身に纏う雰囲気からして、無遠慮に近寄ることを躊躇わせる『難さ』が存在するのだ。 彼はそれを何とか無視しつつ、彼は輝夜の無造作に組まれた足、その太腿部分に頭を乗っけることに成功した。 「ふぅん、案外重いのねえ。空っぽなんじゃないかと思ってたけど」 「いえいえ、愛とか欲望とか煩悩とかで溢れておりますとも」 「実が無いんだから、結局空っぽじゃないの」 「水を頂ければ実が出来ますともさー」 「水差されたのを根に持ってる?」 「いいえぇ、べぇーつにぃー」 「あはは、変な頭」 「そりゃ生まれつきです」 「私はさっき変わっちゃうかと思った」 普段より口が回るのは緊張が故。 一度触れることが叶えば、彼女の懐は何より離れがたいものと変わった。 ほのかに香るジャコウ、上等な仕立ての着物の感触。 しかしその芳しさも滑らかさも、彼女の生身のそれには及ばないということを、彼の中の『男』は容易に喚起した。 いや、それを何よりも高く匂い立たせることこそが、彼女の魔性ともいえる魅力なのかもしれないが。 「えーと、耳、耳っと。ちょっと暗いなあ」 「あんまり引っ張らないで下さいよ……っ、うあ」 思わずといった感じで○○は上擦った声を上げた。 さらりと、長く伸びた彼女の髪が微かに彼の頬を撫でたのだ。 「くすぐったかったかしら」 「あ、いや、このままでいい」 「そう?」 「ん」 「ふふっ。子供みたいよ、今の貴方」 「輝夜に比べればガキだもの、少年だもの」 まるで玩具を取り上げられまいとする幼子のような反応は、普段の彼からすれば割と珍しく。 しかしそれに向けた輝夜の慈しむように柔らかな笑みの方こそ、よっぽど貴重なものであった。 角度上、彼から見えないのが残念なところ。 「ありのまま今起こってる事を話すわ。バカップルを滅亡させると宣言した姫様が目の前でイチャついてるわ」 「馬鹿馬鹿馬鹿。○○のバカ、○○はバカ、○○でしかもバカっ!」 「何このキックオフ状態。輝夜ったら、すっかり自室モードじゃないの。彼までそれに引き摺られてるし」 外野の声なんて聞こえない。 前置きの時点で既に出来上がり気味ではあったが。 如何せん、彼もやはり少なからず浮かれていたのだろう。 周りの白い目より、呪詛の声より、気にすべきものがあるはずなのに。 「ところで、輝夜。耳掃除なんてしたこと有るのか?」 彼は、なんでもないような口ぶりでそう尋ねた。 その問いに輝夜は、上機嫌で、胸を張って、自信満々に、答えた。「安心なさい」と。 「痛みも、快感も、所詮は一瞬のものでしかないわ」 「…………え゛?」 一瞬、彼はそれが問いに対する答えだとはわからなかった。 もしくは理性と本能が総動員で、理解することを拒絶したのかもしれない。 「重要なのは、私が、貴方に、こうしてあげるという事実そのものなのよ!」 「待て。待て待て待てマテ!」 事実上の過失傷害宣言に危険を覚え、離脱を試みるが。 時既に遅し、耳に凶器を添えられ、身体を起こすことができない。 あてがわれた耳掻き棒は、もはや彼にとって拳銃の銃口と同義であった。 「いやー! 助けてー!」 恥も外聞も無く助けを求め、手を伸ばす。 しかしその手は横からてゐに掻っ攫われ、何故か指ずもうに持ち込まれた。 「これも一応は初体験ってことになるのね。嫌だわ、また○○に私の初めてを施しちゃう」 「せめて、せめて優しくしてください」 「だぁめ。せっかくだから、ここでいつぞやの意趣返しといきましょう」 そして輝夜はにっこりと微笑んで。 「初めてなのに、うんと激しくシてあげる」 彼が真っ先に確かめるべきは、身の安全だったということだ。 以下、ダイジェスト。 「狭いわねえ。もうちょっと広がらないのかしら」 「無理! 無理だってば! っていうかメリメリって音がー!」 「この、コレが、もう少しで取れそうな感じが……」 「そんなに擦っちゃらめええええええ!」 「ふふふ。固いのが膜に当たってるのがわかるでしょう?」 「お願いそれだけは! つーかマジでそれだけは勘弁して!」 「いーち、にーい、さーん、しーごーろーく、なーな……」 「てゐ待って、今ちょっとカウント加速したろ! 輝夜も、もっとゆっくり! ゆっくりして痛ってええ!」 「あっ」 「あっ」 そして十数分における嵐が過ぎ去った後。 そこにはボロ雑巾のように打ち捨てられた○○の姿が。 「もう、こわれちゃうよぅ……」 魂すら吐き出していそうな口から出た言葉が『いつぞや』の輝夜の台詞そのままな辺り、凄惨と見るか、余裕があると見るか。 もしくは輝夜の意趣返しが正しくなされたとも見るか。 どちらにせよ、彼のライフは既にゼロであることは確かだ。 一方、当の輝夜はスッキリしたとでも言わんばかりの表情でご満悦である。 もはや今の彼、もしくは耳掃除に対する熱意も興味も使い果たしたらしい。 てゐは動かなくなった彼の手を意味も無く弄んでいたが、それにも飽いた様子。 砂浜に打ち上げられたクラゲにするが如く、彼をつんつくと突っついたりしている。 鈴仙は最初こそ彼の態度に思うところがあったものの、その惨劇を目にしてすっかり毒気を抜かれてしまったようで。 倒れた○○と、その近くに居るてゐと輝夜、三者の間にオロオロと視線を彷徨わせていた。 そして、この場に居る最後の一人。最後の女。 月の頭脳が、満を持して動く。 「優曇華も、姫も。詰めが甘いわね」 今まで傍観を決め込んでいた永琳が立ち上がった。 表面上は完璧に見える笑みを浮かべながら、倒れ伏したままの彼の元に歩み寄る。 一体何をしようというのか。 とどめでも刺すつもりなのだろうかとてゐは考えた。 一段落終えた後で彼を介抱するつもりだった鈴仙は、先を越されてしまったと悔やんだ。 そんな予想を知ってか知らずか、○○の隣に腰を下ろした永琳は。 おもむろに、彼の頭を抱え上げ。 その柔らかな胸に押し付けるようにして、抱きしめた。 「んなっ!」 驚愕の声は誰のものか。 少なくとも、永琳の乳に顔を埋めた○○ではないだろう。 誰もが呆気に取られた中で、しかし永琳は周囲にも、自らの胸で硬直する彼にも構わずに、その行為を続けた。 桜色の唇を、彼の耳に寄せる。 触れるか触れないかといった至近で、口付けるかのように唇をすぼめ。 「ふぅ────っ」 その息吹を、余すこと無く彼の耳に注ぎ込んだ。 「~~~~っっっ!」 声なき声をあげる○○。 先まで死に体だった筈のその身が、ひくひくと震える。 悶える彼を己の胸に抱いたままの永琳は、今度は彼にくるりと逆を向かせて、残った片耳にもう一度ブレス。 「すぅ……、ふぅうう────っ」 「あええあうういいあああー……」 溜めを作って三割増しとなった吐息の威力に、訳のわからぬ喘ぎを漏らす。 今度は後頭部を乳に、顔を表に向けていたため、彼の表情は輝夜達にも見て取れた。 先程まで青白く縦線すら入ってそうだった顔色は。死んだ魚のようだった目は。 咲き誇る桜のように色めき、恍惚に満ち足りた目をしていたのだ。 有り体に言えばこの上なく幸せそうであった。 余人が見れば思わず引っ叩きたくなるくらいに。 漸く永琳が腕を離せば、もはや亡我の境地に至っていた彼は、ぽすんと力なく彼女の膝枕に落ちる。 そして永琳は聖母のように厳かに、或いは少女みたいに晴れやかに、もしくは悪魔の如く憎たらしく告げた。 「はい、おしまい」 即ち、これぞ『詰み』である。 因みに、詰んだのは何かというと。 これはもちろん○○の進退であったりする。 「…………ふっ!」 笑いというには鋭すぎる声が響く。 その主は言うまでも無く、攻撃色を身に纏った輝夜である。 「ふ、フ。フフフフ腐。確かに? たぁーしぃーかぁーにぃ、私が甘かったようねえ」 ゆらりと立ち上がるその様はまるで幽鬼の如く。 亀裂のような笑みを口に浮かべ、しかしその目はこれっぽっちも笑ってはいない。 お仕置きモード、難易度Lunatic仕様の輝夜が果たして降臨した。 引き金を引いた永琳はといえば、やることをやった後はさっさと退出していた。 去り際に「夜までには済ませてちょうだいね」とのこと。 今夜の当番は彼女だったりする。 この状況を作り出した根本の原因である彼は、うつ伏せになったまま冷や汗と脂汗をダラダラと垂らしていた。 それでも逃げないのは、無駄とわかってるというのもあるが、身体的な都合により身を起こせないためだったりする。 永琳先生ったらテクニシャン。 辛うじて動かせる首を巡らせ、この場に残る他の面子に賭けようともした。 しかし、てゐは彼のことをまるで汚物を見るような目をしているし。 最後の良心にして希望である鈴仙に救いを求めたところ。 「……知らないっ」 と、言われてしまった。 頬を膨らませてそっぽを向くその仕草はいじらしくて、とてもよい、が。 やはり彼は残念ながら、全く以って残念ながら、それどころではないのだ。 執行者となった輝夜が一歩一歩近付いてくる。 もはや逃れる術はなし。 「その不埒な性根! 欠片も残さず穿り出してあげるわ!」 そう叫んで、怪鳥が如く踊りかかる輝夜の手にてゐが握らせたのは。 先程まで使用していた耳掻き棒。 ではなく。 イナバ用ジャンボ耳掻き棒。 ですらなく。 似たような形ではあるけれど、まかり間違っても耳に入れるものではない。 人それを、孫の手という。 襲い来る悲劇を確信した彼は、せめてもの慰みとして。 吸い付くような鈴仙の太腿と。 全く高貴な輝夜の香りと。 ぷにぷにとしたてゐの手と。 何よりも柔らかな永琳の胸の感触を思い起こし。 せめて最期は幸せな記憶とともに逝けるよう──。 ひぎぃ
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書籍情報 あらすじ 既刊一覧 書籍情報 タイトル ゲーマーが異世界魂転してハーレム人生へコンティニューするそうです 著者 etose イラスト りょう@涼 出版社 キルタイムコミュニケーション レーベル ビギニングノベルズ Nコード N1803CO(ノクターンノベルズ) 連載開始 2015年 03月04日 あらすじ 「まずは一人ずつウェインに愛してもらいましょうか。 誰からにしようかしらね? じゃんけんで決める?」 いくどもコンティニューを繰り返し、 とあるFPSゲームの最後のルートを開放した主人公は、 喜びすぎが原因でその直後に頭をぶつけて死んでしまう。 しかし、それを不憫に思った神様(ゲーム好き)により、 彼は少年・ウェイン(ただし前世の記憶はない模様)として 異世界で人生を続けることに……。 魔法や冒険が当たり前の世界での軍学校生活、 そして自分を心から愛してくれるヒロインたちとの出会い。 ゲーマの二度目の人生はハーレムルート一直線!? 既刊一覧 タイトル 発売日 分類 ISBN 値段 詳細ページ ストア ランキングデータ ゲーマーが異世界魂転してハーレム人生へコンティニューするそうです 1 2016年 03月12日 一般書 978-4-7992-0869-4 1,100円 ビギニングノベルズ Amazon B☆W 書籍データ 特設サイト 「ゲーマーが異世界魂転してハーレム人生へコンティニューするそうです」
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ハーレム?18 新ろだ532 幻想郷に重大な異変が起きた。今までに起きた異変などとは比べ物にならないほど、 重大な異変。それは幻想郷全土を巻き込み、今も尚猛威を振るい続けている。人間や妖 怪の区別なくだ。 幻想郷の重鎮、八雲紫もその異変の犠牲になり今や瀕死。事態を重く見た彼女は異変 解決のプロである博麗の巫女、魔法使い、メイドなど選りすぐりの精鋭を集めた。その 誰もが例外なく、異変の被害にあっている。 「みんな、ずずっ、よぐ集ばってくれ、くしゅん、だわね」 「流石に、はっくしゅ! ごりゃ、洒落になだないぜ、ずずー」 「ぞうよ、へくしゅっ。こんなんじゃ、おぢおぢお茶も、くしゅっ、飲べないわ」 博麗神社の境内。八雲紫によって集められた者達がそこに集っているのだが、先ほど からずっと鼻を啜る音とくしゃみが絶え間なく続く。 「ごの私が、くしゅんっ、屈辱だわ……ずーっ」 「おじょうざま……はっくしゅっ! ごちらのティッシュを」 「あびがどう、咲夜……ちーん!」 べっとりとティッシュに付着するレミリアの鼻水。いや、ここはあえてレミリア汁と でも呼んでおこう。特に意味はない。 完璧で瀟洒なメイド長である咲夜も、自身の主が鼻をかんだ後にすぐさま同じ行動を 取る。ちーん、とティッシュに付着する咲夜汁。 「ゆかりぃ、くしゅんっ、なんどがなばないのー……ぐしゅ」 「目が、目が痒いでずゆゆご様。はっくしゅんっ!」 妖夢汁は鼻からだけでなく、目からも溢れてくる。境内にいるうちの何人かは、彼女 と同じ症状にかかっているようだ。八雲紫や他の面々が持ってきたティッシュが大量に 消費されていく。恐らく幻想郷至上、もっともティッシュが消費された一日になるだろ う。 「ぶえっくし! うー、ごんな調子じゃ、ネダ集べにもいべばぜんよ」 「今、永遠亭のやぐしにちりょうやぐを頼んべるんだげど、出来るのに時間がかかるば しいわ」 その薬師、八意永琳も彼女らと同じ症状に苦しみながらも、治療薬作っている。弟子 である鈴仙もフル活用して。今頃、永遠亭はティッシュまみれになっている。 「ぎっと、この異変は風見幽香の゛仕業に゛違びないば」 フラワーマスター、花を操る程度の能力の持ち主である風見幽香。彼女の能力を持っ てすれば花粉を飛ばして花粉症を引き起こさせることなど容易のはず。 「……皆、何してるんだ?」 「あ゛、○○」 境内に集まってくしゃみをしてたり、鼻水を啜っていたり、鼻をかんでいたりすれば そりゃ目立つ。そんな異様な光景を呆然と眺めていた青年――○○は、我に返って声を かけた。 「皆も花粉症かぁ、きついよな」 ――そう、幻想郷に今起こっている異変とは、人間と妖怪分け隔てなく花粉症になる というとんでもないものであった。 「……○○は、くしゅっ、へいぎなの゛?」 「いや、俺は元々花粉症だよ。目にはこないけど」 あれって本当洒落にならないぐらい辛いよな、と零す○○を彼女らは疑るように見つ めていた。 「な、何だよその目は。なんか変なこといったか?」 多くの視線を感じ、○○が怯えたように後ずさる。くしゃみもしていない、鼻水を啜 っているような気配もない、鼻声でもない。そんな彼が、花粉症だというのか。 『嘘だっ!』 「嘘じゃねー!」 と、叫んだ途端に○○がくしゃみをする。ずずっと鼻水を啜る音。それを見た霊夢達 は表情を一転、仲間を見るような目になった。しかし、 「あー、切れたのか。またささないと」 ○○は懐から手のひらに収まるサイズの容器を取り出し、先のノズルを両方の鼻の穴 に突っ込む。そして、しゅしゅっという音が二回。 あー、と呻き声のような何かを耐えるような声を出していたが、すぐにそれも収まる。 「ふぅ……」 「○○……ぞれ、ばに?」 震えた手で○○の持つ"それ"を指差すアリス。 「え、あぁ。これ、鼻づまりとかくしゃみ……花粉症の症状を緩和させるスプレー」 外の世界にいたときに買いだめしておいて良かったよ、と暢気に漏らす○○。だから 気付かない、彼女らがそのスプレーをじっと見つめていることに。 この症状を治せないまでも、緩和させることが出来る。しかもその効果は目の前の○ ○が身をもって証明済み。そして○○は彼女らにとって一緒に時間をすごしたいと思う 相手でもある。彼女らの脳裏に、こんな方程式が生まれた。 ○○と一緒にいる = 花粉症が(一時的に)収まる 恋する乙女達の暴走が今、始まろうとしていた。 ~東方花粉症・未完~ おまけーね 彼女達が犯人だと決め付けていた太陽の畑にいる風見幽香。彼女は今日も向日葵達に 囲まれ、優雅に…… 「くしゅんっ」 くしゃみをしていた。 「う゛ー……ごんば姿、人に見ぜらればいわね゛……特に○○」 この異変の犯人だと思われた彼女も、今では立派に花粉症に悩まされている。彼女の 場合、花と共に生きる妖怪だからこそ誰よりも辛い目に遭う。向日葵から漂うほんの微 かな花粉にも反応し、くしゃみ、鼻水――否、幽香汁が出てくる。 「○○、何じでるのがしら……」 季節はずれにもほどがあるかもしれないが、花粉症があまりにも辛かったので書いた。 後悔はしていないと思う。だって花粉症ほんとに辛いんだもの。 新ろだ538 いきなりの書き込みですいません こんな電波が流れ込んできたもんですから。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ○○が幻想郷にやってきて数日経ったある日、道端でひどく落ち込んでいる鴉天狗に会った。 ついつい気になって話しかけてみるとどうやら取材用のカメラをどこかに落してしまったらしい・・・。 あまりの落胆ぶりに○○はどうにかできないものか・・・と考えていると外の世界から持ってきたカメラ があったのを思い出し急いで取りに行きそのカメラを鴉天狗にあげたのだった。 それがきっかけでその鴉天狗と親しくなって2ヶ月近くが過ぎたころ・・・ 「○○さんからもらったカメラ相変わらず調子いいです!」 「射命丸・・・その台詞、もらった直後から何度も言ってる気がするぞ、オイ、俺を写すなよ。そのカメラに失礼だ。」 「本当に調子がいいんだからしょうがないですよ。それに私が写したいから映してるんです。」 「別にいい記事になるわけじゃあるまいし・・・」と思っていると 「やっぱりここにいました!」 「ん?」 「あや?」 声がした方を見てみるとそこには見知った顔の白狼天狗がこちらに向かって降りてきた。 射命丸と親しくなってから妖怪の山には知り合いが多くなった。この娘もそのうちの一人だ。 「椛~ おつかれ~」 かるく手を挙げあいさつする射命丸 「椛、どうしたんだ?誰かを探していたみたいだけど。」 「すいません、お邪魔してしまって・・・実は文様を探してたんですよ。」 「射命丸を・・・?何かやらかしたのか・・・?」 「あやや?別に何もしてませんけど?」 そう言い首を傾げる・・・その仕草はとても人間よりはるかに強力な妖怪とは思えないほど可愛らしい仕草だった 「何もしてないのがいけないんですよ!文様仕事を放棄して○○さんに会いに来てるじゃないですか!今日は一緒に警邏を 担当するって言われてましたよぉ・・・」 「それに私だって警邏や哨戒任務がなければ○○さんに毎日会いにいくのに・・・ごにょごにょ」 怒っているのか悲しんでいるのか、尻尾はピーンと立てているが耳がシュンと垂れている。これはどういう表現なんだ? 最後の辺りは声が小さすぎて聞こえなかったがなんて言ったんだ? う~ん・・・まあ、いいや。それよりも仕事を放棄したと言ってたな、最近よく来るがまさかずっとさぼっていたのか!? 「射命丸、仕事をサボるのはやめておいたほうがいいぞ」 「あやや・・・違いますよ!う~ん・・・そう!たまたま!たまたますごく良い風景が撮れたのでこれは○○さんに見ても らわなくてはと思い訪ねたのです!その写真を見せたあとすぐに戻る予定だったんですよ!」 そう言い何かを写す仕草をやたら強調する射命丸 ここに来た時からそんな写真見せてもらってないんだが・・・ってか仕事に戻るつもりなかっただろうに。 心の中でそんなことを思っているとひたすらジーッと椛がカメラを見つめていた。 「椛?カメラがどうかしたか?」 「ふぇ? あ、いえ! それって○○さんがプレゼントしたカメラですよね?」 いきなり声をかけたからか普段きけない声を出しながら慌てて答えていた。 「そうです!これは○○さんからプレゼントしてもらったカメラです!その~・・・○○さんには・・・え~と・・・すごく 感謝しています・・・」 そう言いながら背を向ける射命丸、恥ずかしがっているのだろうか? 「そうなんですか・・・やっぱり、文様も・・・」 椛が小さな声で何か言ったのだが聞きとれなかった。 「何ていったんだ?ごめん、小さすぎて聞きとれなかったんだけど」 「あ、いえ!何でもないです!」 そう言った後、椛はここに射命丸を呼びに来た時様な元気が全く無く耳も尻尾も垂れっぱなしの状態。 射命丸に至ってはまだ背を向けたままだ。何を考えているんだろうか? 「う~ん・・・よし!何時も頑張っている椛にもプレゼントをやろう!」 そう大声で言うと 「わふん!?」 「あやややや!?」 二人は同時にこちらを向いた 「今すぐにとはいかないが必ず椛が喜ぶようなプレゼントをあげるから期待していて!」 「そ、そんな!いいですよ!私なんかに・・・き、気にしないでください!」 そう言いつつも耳と尻尾がすごく動いてますよ椛さん・・・これだと椛は嘘がつけないな。 それでも相手が嬉しがっているのがわかっているだけでもこっちもいいプレゼントを用意しようと気持ちになれる。 これは重大なミッションになりそうだ! 「私にもくださいよ~!○○さ~ん!」 「射命丸にはカメラをプレゼントしただろう!椛にはまだ何もプレゼントしてないから!?」 「過去は過去。現在は現在なんですよ!大切なのは現在での出来事なんですよ!」 この娘は何を言っているのだろうか・・・ただのおねだりじゃないことは確かだよな。 「それにどうして私だけ射命丸と名字で呼ぶんですか!文って呼んでくださいよ~」 「いや、ただ呼びなれているだけなんだけど・・・いまさらそう呼ぶのもな~、ちょっとトイレ~」 こうやって一時逃げるのが得策だな 「あ!そういって逃げるんですね!そうなると後が怖いですよ!」 そう言われると不安になるがまあ、大丈夫だろう。 「文様・・・」 「ん?どうしたの椛」 「私、相手が文様でも負けるつもりないですから・・・!」 「あや・・・!?ふふふ・・・こっちも負けるつもりはないわよ!幻想郷最速は伊達じゃないんだから!」 まさかこんなやり取りが行われているともしらず○○は椛に渡すプレゼントを考えていた。一応、射命丸の文も考え てはいた。(後々が本当に怖そうなので。) そして、妖怪の山を巻き込むほどの騒動になるなどこの時は誰も予想だにしていなかった・・・。 つづかない! 新ろだ635 どうも、今回初投稿です。 それと、とてつもないキャラ崩壊が待っております。 それでもいいという方のみ閲覧してください。 ○○スペック 身長:158㎝ ・出身:日本国 ・種族:異世界人 ・年齢:不詳 童顔っぽくて、ちっちゃい。 剣道:10段 範士←過去に日本国で取ったもの。でも、実戦は三刀流。 魔法使い→主に魔法剣士 転移系が得意。 ~過去歴史~ 小さい頃に両想いだった女の子が海賊員により目の前で殺される。 そして、鈍器により海賊員を殺害。 殺害の罪を取り消すために魔女と取引。 罪を取り消す代わりに世界を守り、愛すべき人を永遠に守るという呪いをかけられる。 魔術は魔女により与えられた。 ↑ 正直、ここら辺の設定を深く考え込まないで。目だけ通してください。 設定と打って変わって内容は非常にユーモアな仕上がりとなっております。 以上を踏まえて、ご覧ください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「どうも、文々新聞ですー。○○さんいますかー」 朝になり、オレが目を開けたと同時にその声は聞こえた。 「文さん、おはようございます。毎日新聞ありがとうございます。」 「いえいえ、これがわたしの仕事ですから♪」 文はそう言って微笑み、オレに新聞を渡した。 新聞に目を通すと、記事一面には「異世界人 ○○ 小さき剣豪が異変解決」の文字が。 「文さん!!小さきってのが余計ですよ!!まったく…毎日牛乳…ブツブツ」 「別にいいじゃないですか~よっ!!小さき剣豪!!」 文はそう言うと、オレの頭に手を置いて笑った。子ども扱いしやがって… 「そうでした、○○さん。今日は○○さんの過去について取材したいのですがよろしいでしょうか?」 「過去…ですか…」 オレの表情が一変し、あの子が殺された瞬間がフラッシュバックする。 「○…○く…ん…」 「あぁ………あぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」 「オレの…オレの彼女を返せえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇええぇえ!!!!!!!」 ゴスッ!! 「○……ん…」 「○…○……さ…ん…」 「○○さん!!大丈夫ですか!?」 文の声により我へと戻った。あぶない、口に出るところだった。 「○○さん、嫌なこと聞いてしまったようですね…ごめんなさい…」 文がしゅんとなり、黒い羽もしゅんとなった。面白い面白い。 「いや、いいよ。話すよ。その代わり、このことを新聞にまとめてみんなに配ってくれ。」 そう言うと文の表情がパッとなり、羽もパタパタしている。かわいいかわいい。 そして、オレは過去にあったことをすべて文に話した。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 「そんなことがあったのですか…」 また、文がしゅんとなり、黒い羽もしゅんとなった。面白い面白い。 オレは、浮上魔法で宙に浮き文の頭を撫でた。 「これがオレに与えられた運命だ。気にするなよ。」 そう言うと、オレは文の頭をわしわしと撫でた。 「○○さん……ポッ」 文の表情がポッとなり、羽もパタパタしている。…ん?ポッ? 文の頬が紅く火照っている気が…気のせいか。 「しかし○○さん。本当にこのことを記事にしてもよろしいのでしょうか?」 文が不安そうな表情でオレを見上げる。見上げるほどの身長ないけどねっ!! 「うん、みんなに本当のことを知っておいてもらいたいからね。」 「…わかりました。○○さんのこと、ちゃんと記事に書かせていただきます!!」 文は真面目そうな顔をしてそう答えた。 「それじゃ博麗神社に異変解決の礼金を奉納してこようかな。文も新聞作り頑張ってね。」 「○○さんも大変ですね。それでは明日の新聞を楽しみにしていてください!!」 そう言うと、文は疾風のごとく帰っていった。 「これでいいんだよな…」 オレは空を見上げて、太陽の光に手を翳していた。一瞬、魔女が頷いているように見えたが… いかんいかん、早く奉納しに行かないと霊夢が干乾びてしまう。準備しないと… そして準備が完了し、オレは転移魔法で博麗神社へ向かった。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 「ふぅ…到着だね。」 ここは博麗神社。オレが転移魔法の暴発によりここに飛ばされ、この神社の巫女に拾われたのだ。 …そして魔女がオレに言ったあの言葉。 「お前は次の国で旅は最後だ。だが、たくさんの異変を解決することになる。」 「そして…大切な人を見つけることになるであろう。」 実感湧かなかった。今までの旅が終わり、探し続けていたものが見つかる?ははっ、馬鹿な。 オレは力がほしかった。ただ、あの守れなかった自分が嫌だったのだ。死人は帰ってこない。 そんなことを回想していると、一人の少女が話してきた。 「あら、○○元気にやってるみたいね。あと、素敵な賽銭箱はここよ。」 この巫女さんは博麗霊夢。博麗神社の巫女をやっており、博麗大結界を管理している。 オレを拾ってくれた巫女とは霊夢のことである。 「礼金たくさん出たぜ。オレはいらないから霊夢にあげるよ。」 「………あっ…」 そう言ってオレは袋に入っていたお金を賽銭箱に入れる。すごーい音だぁ。 一方霊夢は、頬を赤らめてオレの顔を見つめる。ちょっとドキッとしてしまった…不覚!! 「どうして…○○はお賽銭入れてくれるの?」 「それはな…お前に殺されかけたからだっ!!」 言った言葉そのものである。 オレがここ幻想郷に来て異変を解決したときのことだが、異変解決の礼金が博麗神社の賽銭箱からオレの財布へと移った。 そのせいで生活できなくなってしまった霊夢は、オレの家まで襲撃をかけてきたのだ。 もし、霊夢とわかっていなかったら斬っていたところであろう。 「なっ…!!仕方ないでしょ!!お腹が空いて死にそうだったのよっ!!」 「ははっ、悪ぃーな。オレも寿命を縮めたくないからな。」 「そ、それなら○○…私と一緒にここに…」 霊夢が何か言おうとしたそのときだった。 「霊夢ー遊びに来てやったぜ!!おっ、○○久しぶりだなっ!!」 「やぁ、魔理沙。久しぶりだね。」 「……………………ブチッ」 なんか聞いてはいけないような音がしたが…まぁ気のせいだよな、うんうん。 霊夢…ドス黒いオーラがが出ていますよ… 「それにしても○○、今回も見せ付けてくれるな。 すっかり私たちの仕事が無くなっちなっまぜ。まぁ私は違うんだがな。」 「…別に。もう慣れきっている。呪われた運命だからな。」 オレは一本の剣を取り出し、天にへと向ける。 cast a spell…MAGIC SWORD・RAINBOW SWORD 刃の無かった剣から、虹のように輝いた刃が現れる。 こいつは、旅の一番初めに魔女からもらった魔剣。今までずっとこいつと旅をしていた。 ただ、あまりにもの強さに鞘から出したことは覚えてないほど前であった。 そして、オレは鞘に剣を収めた。 「…どうした?○○暗いぞ?」 「ははっ。明日の新聞が楽しみだよ。…って霊夢!!さっきから怖いのだが!!」 霊夢がこちらを見てゆらりと近づいてくる…そして右手にはお札が…ん?お札? 「魔理沙…何○○にイチャついているのよ…」 実はというと、魔理沙はオレの背後から腕を交差させて立ったおんぶ状態なのだ。 オレもちょっぴり恥ずかしい。 「いやーちょうどいい位置に○○がいたもんでな、つい…」 「つい…じゃないわよっ!!こうなったら弾幕ごっこよ!!」 「おっ!!霊夢と戦うのは久しぶりだねぇ~」 弾幕ごっこか…なら安心だな。死ぬこともないしな。いい世界だここは。 「んじゃ○○、霊夢に勝ったら私にキスしてくれ。」 「ブフッー!!」 霊夢とオレがお茶を同時に吹いた。 「ま、まま魔理沙?それ本気かっ!?」 「ん、んじゃ私が魔理沙に勝ったら一緒に住んでよねっ!!」 「ブフッー!!」 オレただ一人お茶を吹いた。 「「よし、んじゃ○○を賭けていざ、勝負!!」」 おいおい…マジかよ… …んじゃここはオレも参加しようかな? 魔理沙が霊夢に向けてマスタースパークを、霊夢が魔理沙に向けて夢想封印を発動しようとしている。 「「○○は私がもらった(ぜっ!!)」」 二人から同時に射出される。その刹那、オレは刀を抜いた。 「斬符 二刀流:鬼拳流し」 オレは、マスパと夢想封印の中心に立ち、二刀で二つの弾幕の軌道を逸らす。 マスパはどこかへ行ってしまい、夢想封印は弾幕同士相殺された。 そしてオレは刀を鞘に収め、霊夢、魔理沙、オレの目の前に転移空間を作りオレは空間に腕を突き刺す。 「無符 無刀流:一貫手刀」 霊夢と魔理沙の空間から、オレの刀のような腕が出てきて攻撃。 「「ピチューン」」 「霊夢も魔理沙も甘いな」 「あたた…まさかの○○勝利って…」 「予想もしなかったぜ…」 霊夢と魔理沙が起き上がろうとする。二人に手を差し出した。 「あ、ありがと…」 「さ、サンキュー…だぜ」 「二人とも怪我は無いようだな。よかったよかった。」 霊夢と魔理沙の顔がほんのり紅い…変な気分になってしま(ry 「んじゃオレ争奪戦は終わり。オレに勝つことだな。」 「「いつか勝ってやるわ(ぜ)」」 ここの住人は頼もしいこと。オレいらないんじゃね? 「んじゃオレは帰るわ。また来るよ。」 そう言ってオレは転移魔法で帰宅した。 一方、博麗神社はというと… 「私…○○のこと好きかも…」 「き、奇遇だな。わ、私もだぜ…」 恥ずかしいことになっていた。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ その後、オレは特に事件は起きなかったので、晩飯を食べて風呂に入り寝てしまった。 そして、○○は予想もしないであろう。 目が覚めたその日から、異変が連続して起きるということを… そして、新しく魔女にかけられた呪いによって幻想郷がピンク色に染まるということを… 続く。
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ハーレムビートは夜明けまでをお気に入りに追加 情報1課 <ハーレムビートは夜明けまで> #bf 外部リンク課 <ハーレムビートは夜明けまで> ウィキペディア(Wikipedia) - ハーレムビートは夜明けまで Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <ハーレムビートは夜明けまで> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <ハーレムビートは夜明けまで> #blogsearch2 成分解析課 <ハーレムビートは夜明けまで> ハーレムビートは夜明けまでの76%は怨念で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの15%はアルコールで出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの5%は祝福で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は媚びで出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は濃硫酸で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は罠で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は鍛錬で出来ています。 報道課 <ハーレムビートは夜明けまで> gnewプラグインエラー「ハーレムビートは夜明けまで」は見つからないか、接続エラーです。 情報3課 <ハーレムビートは夜明けまで> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ ハーレムビートは夜明けまで このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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【検索用 いないいない 登録タグ UTAU い 曲 毎夜P 雪歌ユフ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:毎夜P 作曲:毎夜P 編曲:毎夜P 唄:雪歌ユフ 曲紹介 その猫をおいていくなんてとんでもない。 曲名:『いないいない、』 コンピレーションアルバム「Singing In The Snow feat. 雪歌ユフ」収録曲。 歌詞 (PIAPROより転載) とても寒い 冬の朝に 雪の音がして 目が覚めたの 君のくれた ふとんを出ると 温かいご飯と 僕ひとり ねぇ これ昔 流行った遊び? もう 隠れたって 驚かないよ しょうがないな ちょっと 寒いけれど どこまででも 探しに行くよ 明日 残った足跡を 見失っても きっと どんな暗い夜も 見つけてみせるから いつか しまったキャンバスを 覚えているなら あの日みたいに また僕を 描いてくれるかな いつの間にか 眠ってたみたい 夢見たのは 懐かしいぬくもり 昔 二人遊んでは 笑っていたのに 今 触れる君はなんで 泣いているのかな ああ 僕に出来ることは 少しも無いけれど とっておきの 変な顔 笑ってくれるかな コメント 名前 コメント
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【分類】 思いつき 独自研究創作 目次 【分類】 【概要】アドベンチャーあれこれ 凡例 パズル 【参考】モチーフ 関連項目 タグ 最終更新日時 【概要】 アドベンチャー あれこれ ヒロインとH後、別ヒロインが乱入してくる。 場所と先にHしていたヒロインとの関係で乱入ヒロインが決まる。 一組でカウントする。 一組ごとの人数は特に決まってない。基本は一人か二人。 一回のHで同一ヒロインは何回もやらない? 各種上限やフラグ等、条件を満たした場合発生。 体力や社会的地位・好感度などが上限に影響する。体力や精力がなくなると相手にできなくなる。 好感度やハーレム定員の上限を超えると相手にされなくなる。 背景に事後で脱力しているヒロインを足すことで多人数プレイをしている感じになる? ヒロインと敵対関係の場合、仲間を助けに来た感じになる? 乱入ヒロインは覗き見していて濡れているので即ハメ可能? 1コマ2時間として、それを経過する場合、顧問・部長や店長のような都合を付けられるヒロインがいないと、継続できない。およそ十人で2時間ぐらい? 一人十分程度? 最終的に連続してHした人数で獲得ポイントが変化。4人で10ポイント程度。 10人で50ポイント程度。 20人で300ポイント程度。 凡例 一組目 二組目 三組目 四組目 五組目 合計 家族 リビング 義母一人 義姉二人 義妹二人 6P バスケ 部室 部員二人 部員四人 部員三人 部員二人 顧問一人 13P ストリート 三人 三人 三人 三人 13P 選抜合宿 101P 全国大会 1001P 喫茶店 更衣室 一人 一人 二人 5P キッチン P ホール 客二人 店員一人 店員二人 客三人 店長一人 10P テニス 団体 S一人 D二人 S一人 D二人 S一人 8P 選抜合宿 101P エルフ 森 一人 一人 一人 一人 5P 変身ヒロイン 異空間 一人 一人 二人 二人 7P 病院 診察室 看護婦二人人 患者二人人 看護婦三人 患者三人 女医一人 12P 巫女 神社 P メイド 屋敷 P シスター 教会 P 暫定的に五組目までだが、可能ならそれ以上でも可能。 パズル パズルの落ちげーのように連鎖を決めると簡単なHシーンが再生されるのが出来る? 同時消しなら3Pや4Pに変化する。 消すのが巫女ブロックなら巫女、ナースブロックならナースのHシーンが再生される? 各種アイテム等を手に入れると長い連鎖がしやすくなる?竿姉妹の契りがあるほど、落ちるスピードが遅くなる。 モテキスターがあるほど、次に来るブロックの分かる量が増える。 霊酒・鬼孕ませがあるほど、横に広くなる。 仙剛方陣があるほど、縦に広くなる。 最終的に連続してHした人数で獲得ポイントが変化。4人で10ポイント程度。 10人で50ポイント程度。 20人で300ポイント程度。 【参考】 モチーフ ドキドキしすたぁパラダイス さっきゅば☆SOON! ぷよぷよ ドクターマリオ 関連項目 項目名 関連度 備考 創作/エロいシナリオ計画 ★★★ 創作/ハーレムと純愛を利用した展開 ★★★ 創作/ハーレムゲーのシナリオ案 ★★★ 創作/セクハラシステム案 ★★★ 創作/エロゲ向けシステムの相性 ★★★ 創作/エロ向けの設定まとめ ★★★ 創作/モテキスター ★★★ 創作/霊酒・鬼孕ませ ★★★ 創作/竿姉妹の契り ★★★ 創作/仙剛方陣 ★★★ タグ 創作 最終更新日時 2013-10-04 冒頭へ
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目次 【概要】カテゴリージャンル シナリオあらすじ 登場人物主人公 ヒロイングループ知り合いグループA 知り合いグループB 知り合いグループC 知り合いグループD 知り合いグループE 学院Aグループ 学院Bグループ 学院Cグループ 学院Dグループ お嬢グループ エンドパターン個別エンド グループエンド 全員エンド その他設定 【参考】関連項目 タグ 最終更新日時 【概要】 カテゴリー 構成 エピソード 思い付き ジャンル 18禁 ハーレムミステリー 変身ヒロイン 秘密結社 孕ませ 処女 着衣エッチ スカトロなし Wピースなし 白目なし シナリオ あらすじ ある日、主人公は悪の秘密結社に拉致られ改造手術を施される。 戦闘中暴走して、敵味方関係なく40人の美処女とH・孕ませる。 その後毎日子作りH。 主人公は不審がって誰か黒幕がいるのではないかと探るようになる。 登場人物 主人公 男性。 極度の処女厨。 童貞卒業は40人との時。 改造手術で絶倫になる。 人間不信。 ヒロイングループ 知り合いグループA 主人公の幼馴染。 4人 知り合いグループB 主人公の義理の家族たち。 4人 知り合いグループC 主人公の習い事仲間。 4人 知り合いグループD 主人公のバイト仲間。 4人 知り合いグループE 主人公のサークル仲間。 4人 学院Aグループ 主人公の通っている学院と同系統の分校。 4人 学院Bグループ 4人 学院Cグループ 4人 学院Dグループ 4人 お嬢グループ 令嬢1人 付き人2人 友人1人 エンドパターン 探り方によって行きつく黒幕(ヒロイン)が変化。 個別エンド グループエンド 全員エンド 主人公以外全員が共謀していた。 その他設定 ヒロイングループと敵味方の区別は関係ない。 敵味方関係なく男性がいない。 【参考】 関連項目 項目名 関連度 備考 創作/シリーズG ★★ リアル系 創作/シリーズF ★★★ ファンタジー系 創作/ハーレムミステリー ★★★ ジャンル 創作/そうしてこんな嬉しいハーレム応援になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム部活になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム監獄になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム看病になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム留学になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム研修になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム遭難になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム監禁になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム式典になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム花見になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム事故になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム聖夜になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム作戦になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム団地になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム挙式になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム要塞になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム戦艦になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム農場になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム事件になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム会社になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム修行になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム冒険になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム合戦になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム喫茶になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム契約になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム学園になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム寄席になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム抗争になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム拷問になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム挙式になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム教会になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム旅館になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム決闘になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム病院になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム神社になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム神話になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム苗床になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム賭博になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム迷宮になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム道場になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム部隊になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム集会になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム集落になった。 ★★★ 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム面接になった。 ★★★ 創作/ハーレム工作員 ★★★★ 職業・種族 創作/ハーレム大臣 ★★★★ 創作/ハーレムエンジェル ★★★★ 創作/ハーレム星人 ★★★★ 創作/ハーレム妖精 ★★★★ 創作/学院A ★★★★ 登場組織 創作/学院B ★★★★ 創作/学院C ★★★★ 創作/学院D ★★★★ 創作/モテキスター ★★★★ アイテム 創作/銘酒・鬼孕ませ ★★★★ 創作/ハーレムゲーのシナリオ案 ★★★ タグ 構成 最終更新日時 2013-03-24 冒頭へ
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ハーレムビートは夜明けまでをお気に入りに追加 ハーレムビートは夜明けまでのリンク #blogsearch2 Amazon.co.jp ウィジェット ハーレムビートは夜明けまでのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ハーレムビートは夜明けまでの報道 gnewプラグインエラー「ハーレムビートは夜明けまで」は見つからないか、接続エラーです。 ハーレムビートは夜明けまでとは ハーレムビートは夜明けまでの76%は怨念で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの15%はアルコールで出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの5%は祝福で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は媚びで出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は濃硫酸で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は罠で出来ています。ハーレムビートは夜明けまでの1%は鍛錬で出来ています。 ハーレムビートは夜明けまで@ウィキペディア ハーレムビートは夜明けまで 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ハーレムビートは夜明けまで このページについて このページはハーレムビートは夜明けまでのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるハーレムビートは夜明けまでに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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ハーレム?26 Megalith 2010/11/03 幻想郷の時間軸というものは、ここの住人と同じように結構のんびりしている。 昼飯を食べて少し経った頃、俺は茶をしばきながら八雲家の縁側で空を見ていた。 カラリと晴れた秋空に浮かぶ雲を見ていると、あの上で昼寝したらどれだけ気持ちいいだろうか想像してしまう。 言うに及ばず、今の俺は眠気が凄い。昨晩遅くまで読み物に耽っていたのが原因だろうか。 秋の夜長の贅沢な一時だが、こうまで欠伸が多いと考え物だな。 「○○しゃまー!」 舌足らずだが元気な少女の声で、現実へと意識が戻される。 見れば猫耳と二股の尾を生やした10歳ほどの女の子がこちらにむかって走ってきた。 八雲橙。八雲紫の式である八雲藍の式。人懐っこい性格で、よく俺や藍に甘えてくる。 橙は俺の前まで来ると、洋風のお嬢様のようにその場で一回転して仰々しく服の裾を摘みながらお辞儀した。 普段の天真爛漫な姿とのギャップがあって、なんとも可愛らしい。 「これは橙お嬢様。ご機嫌麗しゅうございます」 「えへへ、○○しゃま? 私を見て何か気づきませんか?」 後ろで手を組む橙の微笑ましい姿を、俺はじっくりと観察する。 服装はいつも通り。髪型も言うほど変わった様子は見られない。 顔の造形は変わってたら許さない。橙可愛い。 しかし少し時間をかけてみてみると、案外簡単にその変化は探し当てられた。 「橙……少し胸が大きくなったんじゃ?」 「えっ!? ほ、本当ですか?」 「うん、嘘。コスモスだろ? 頭に挿してある」 「うぅ、○○しゃまの意地悪! ちょっと本気にしちゃったじゃないですか!」 膨れっ面で俺の胸をポカポカ叩く橙。本当、見てて飽きない子だ。 彼女の頭を撫でてやると、一変して朗らかな笑顔になり、俺の膝の上に座る。 軽く抱きしめてやると、橙は嬉しそうに頭を俺に摺り寄せた。 コスモスと女特有の香りが、俺の鼻腔を満たしていく。 「橙は暖かいな……湯たんぽ代わりにしたいぐらいだ」 「そ、それって……一緒のお布団に、入るってこと……ですか? そんな、まだ心の準備が……」 「そんなに顔を赤くしなくても大丈夫。冗談だ」 「……また意地悪」 不機嫌そうに後ろの俺を睨みつける。俺は笑いながら、またその頭を撫でてやった。 やってもいいのだけれど、藍にバレたらと思うとどうにも。 しばらくそんなやり取りをしていると、不意に橙が体をこちらに預けてきた。 見れば心地良さそうに寝息を立てている。無防備な寝顔を俺に向けながら。 「まったく……卑怯だぜ、この可愛さ」 「本当に、橙の可愛さは異常だな」 俺の右肩からいつの間にか藍が顔をだし、自分の式の寝顔をニヤケ顔で見ていた。 すぐ近くに藍の端整な顔があると思うと、思わず顔を背けてしまう。 若々しく張りのある肌、それでいて大人のもつ魅力も兼ね備えている。 それ以上に、橙にはない女の魅力が、俺の背中を幸せ色に染め上げているが。 「隣、いいか?」 「えぇ、どうぞ」 俺の右隣に座った藍は、そのまま何とも幸福そうな顔で橙の寝顔を見つめていた。 どこかその辺は子供のようで、少し微笑ましい。 「いい天気だな」 「そうですね」 「橙は可愛いな」 「符合性がまったく見えませんが、そうですね」 「嫁にはやらんぞ」 「それじゃ、代わりに貴女をもらっても?」 会話のキャッチボールは途絶えた。すると突然、藍が俺の肩に自分の頭を乗せた。 段々と擦り寄ってくる彼女の体。それに伴って、俺の心拍数は急上昇していた。 寄り添った藍の顔は、少しばかり赤みを帯びているように見える。 「……紫様のお世話をしてくれるというのなら、考えてやってもいい」 「それ、単に藍様が橙と一緒にいたいだけですよね?」 「チッ、バレたか」 くだらない話に二人は笑った。その後も橙の可愛さを説く藍の話しを聞いたりしていた。 いつの間にか藍が一言も喋らなくなっているのに気づく。 横を見れば、可愛らしい寝顔をこちらに向けていた。 膝に橙、右肩に藍といよいよいい夢が見れそうだと思い、俺は目を閉じた。 「主人を差し置いて、その式に手を出すなんて、あなたも命知らずね」 「うおぉ、紫様」 俺の左側から紫が半身を乗り出す。その顔は非常に不愉快だといっていた。 正直、生きた心地がしない。 「あ、いや。俺は別に紫様を除け者にしようなんて考えは全然なくてですね。 橙も藍様も、自分から俺のところに来たわけで……」 そんな言い訳を並べている間にも、紫は隙間から体を出してくる。 他の二人とは違う、圧倒的な成熟の美。 顔立ちやスタイルだけではない、物腰や雰囲気も彼女は完成されていた。 有無を言わさず俺の左隣に座る紫。どんな折檻を受けるのだろうと、内心ビクビクしていた。 すると、紫は俺の左腕に自分の腕を絡ませてきた。 たおやかな彼女の肌が何とも心地よい。そしてその表情は、普段あまり見せない甘えのもの。 「私一人、仲間はずれは御免よ……」 「紫様……」 寄り添う紫は、俺の腕を愛おしそうに頬ずりしてくる。 その仕草が子供っぽくて、彼女に対して初めて可愛いという感情が芽生えた。 さて、いよいよ眠れなくなってしまった。 橙、藍、紫。幸福のデルタ地帯に囲まれた俺の心臓は、早鐘のように昂ぶりだす。 仕方なく俺は空を見上げた。だがそこにはもう、雲はなかった。 「……ん」 体に感じる冷たい風に、真っ暗な視界が徐々に映えてきた。 どうやら縁側で日向ぼっこを愉しんでいる間に、眠ってしまったらしい。 体を起こすと少し頭が重い。結構な時間野ざらしにされていたようだ。 外は夕刻を過ぎて夜の帳が下りてきている。もう少し寝ていたら、間違いなく風邪を引くところだった。 「結局夢オチか」 何とも妄想満点の幸せな夢だ。今夜寝床に入っても見れたらいいな、なんて思ったり。 少し用を足したく、俺は厠へと足を運んだ。 出すものをだし、ふと備え付けられている鏡に目が行った。 そこにいるのは間違いなく俺。しかし不可解な点が幾つかあった。 「……なんだこれ?」 俺の頬には、三つの痣のような後が残されていた。 見ようによってはキスマークに見えなくも無い。 もしかして、あの夢は本物? そんな馬鹿げたことを考えつつも、俺は厠を後にした。 思いついたままに筆を走らせてみた。 しかし三人同時となると結構難しい…… やはり今度からバラして一人ひとりキチンと書くことにしよう。 Megalith 2011/04/06 瞼の裏に感じる眩しさで目を覚ます。 目を開き、身体を起こせば見慣れた境内に朱色の鳥居。 ずいぶん眠っていたはずなのに身体はは妙に軽くて、感覚もこころなしか鋭いような気がする。 「お、起きたみたいだね」 かけられた声に振り向けば見慣れた面子が俺を見ていた。 「少し不安もあったけど上手くいったみたいだね」 「どうですか○○さん、具合が悪いところはないですか?」 問いかけに頷きながら眠っていた理由を思い出す。 「……これで俺もみんなと同じになったんだな」 二柱と一人が暮らす守屋神社。 そこに居候を始めて早数年、皆に憧れを抱くには十分な時間だった。 だから頼んだ。皆を手伝いたいと。ずっと皆と一緒に生きていきたいと。 そして、俺は神上がった。二柱と一人の力によって。 「今はまだ精霊に近いけどね」 「私たちの力で○○さんの存在を維持しているだけですから」 「いってみれば私たちの腰巾着ね。八百万の一となれるかはこれからのあんた次第」 人の身を捨てた幻想の中で 「このままでも私は構わないけどね」 「まあ、ゆっくり決めればいいよ」 「○○さん、これからよろしくお願いします」 新しい俺の物語が始まる。 登場人物 ○○(あなた) 本作の主人公。外の世界から幻想郷に迷い込み守矢神社に保護された。 守矢神社の住人への憧れから、皆の力になりたいと、三柱の手によって神上がった。 とはいえ、現状は何の力もなく、ただの霊魂だけの存在である。 東風谷早苗 洩矢の末裔で、人の身でありながら神となった少女。 つまり、経緯は異なるが○○の先輩である。 優しく、面倒見が良いが、思い込みが激しい一面も。 ○○を神上がらせたことを喜ぶ反面、後悔をしている節がある。 「もしあなたが本当に後悔してないというのなら、その時は……」 八坂神奈子 守矢神社の二柱のうちの一柱。表向きにこの神社に奉られている神様。 外の世界でも名の知れた神様で、様々な神徳の持ち主。 新しい部下のような○○の存在を内心嬉しく思ってる。 「信じてもらうための力が神徳さ。今のあんたにはどれだけそれがあるかな?」 洩矢諏訪子 守矢神社の二柱のうちの一柱。守矢神社に奉られている真の神様。 容姿の通り思考が幼く、いたずら好きな一面がある。 反面、一番○○の事を気にかけているのも彼女で、○○の良き相談相手。 「それが君の答え? ……本当に?」 秋穣子 妖怪の山の麓に住む神様で、豊穣を司る。 幻想郷に実りをもたらす神様で、里からの人気は高い。 そのことが姉である静葉に対して優越感を抱かせている。 新米神様の○○に先輩風を吹かせているが…… 「穣らせるっていうのは、一番身近で一番大切な恵みなのよ」 秋静葉 妖怪の山の麓に住む神様で、終焉を司る。 幻想郷に季節の終わりを運ぶ神様で、里からの人気は高い。 そのことが妹である穣子に対して優越感を抱かせている。 新米神様の○○に妙に自分の仕事を教えたがるが…… 「終わりは始まりでもあるの。私の役目は一つだけじゃないのよ」 鍵山雛 妖怪の山に住む厄神様。厄を集めるのが仕事。 一人きりで嫌われ者を買って出た優しい心の持ち主だが、寂しさまでは隠せず 神様に成りたての○○が内心少し眩しく、羨ましいと思っている。 「私が集めて、あなたが清める。……素敵だと思わない?」 恋愛シュミレーションゲーム『神々が恋した幻想郷』 近日発売未定 神様な方たちといちゃつきたくて妄想した結果がこれだよ Megalith 2012/02/09 ガラッ 「もうすぐバレンタインデーです!」 障子を開けるなり早苗が吼えた。 コタツにあたっている霊夢が鬱陶しそうな顔をする。 「あんた去年も一昨年もその前もそんなこと言ってたじゃない。 あと寒いから早く障子閉めなさいよ」 「何を言ってるんですか霊夢さん。 バレンタインが定着すれば恋愛成就祈願で神社も盛況ですよ」 いそいそとコタツに入りつつ早苗が言う。 「そんなこと言ってもう4年経つけど定着する気配すらないじゃない」 幻想郷は日本の一部である。冬は雪が降るようなところでカカオが育つわけもなく チョコレートを手に入れることは隙間妖怪にでも頼まないと難しい。 また忘れ去られたチョコレートの商品が無縁塚に流れ着いても大抵賞味期限が大きく過ぎている。 肝心のチョコが手に入らないため早苗の思うようには事は進まなかった。 「そのバレンタインデーって何かしら」 早苗の対面で黙って話を聞いていた空がクエスチョンマークを浮かべて首をかしげる。 「お空さん、去年も説明したじゃないですか」 「そうだったかしら?忘れたわ」 「バレンタインデーというのはですね、 好きな人にチョコ、いえお菓子を渡して思いを告げるという素敵な日なんですよ」 ふふん、と自慢げに早苗が空に説明する。 どうやら今年から女子だけではなく男女問わずの欧米風にして参拝者獲得を目指すらしい。 「ふうん、それじゃ私は○○にお菓子を渡すわ」 さらりと出てきた空の言葉にひきつる早苗。無表情にお茶をすする霊夢。 コタツにもぐりこんでいるお燐だけがくわっと気の抜けたあくびをした。 「残り物のお饅頭もお菓子よね」 ボソッと霊夢がつぶやく。 「霊夢さん!?」 「あたいは猫だからチョコはちょっとねぇ。さとり様と一緒に何か考えよう」 「ううっ、4人も……負けません。負けませんからね」 「たまごで何か作れないかしら。できればゆでたまごで」 少女たちの戦いはこれからだ。つづかない ○○宅裏 「っ……なんだ突然悪寒が……」 妖怪の山裏 「はっ!なにか強い厄の気配を感じたわ!」 裏 「あぁ、ねったまっしぃー、ねったまっしぃー」 「この時期になるとパルスィ元気になるね」 琴を右手に 琵琶なら左手に(Megalith 2013/09/01) 朝日が射した庭から、涼しげな虫たちの声が聞こえてきた。僕は日課の薪割りを終えた後、いつもの場所へ出かけた。 その場所はいつもなにかしらが転がっていた。「なにかしら」というのが何なのか、拾っている僕自身にもいまいち分からなかった。 全く用途が分からない四角い物体や、開閉できるボタン付きの玩具など、どうしようもない物を拾っては持ち帰って磨きあげていた。 そうして磨きあげた物を、自称木工作家である自分の作品と並べて販売しているのである。 これが以外と売れてしまうから驚きである。 買われていった物がどういう風に使われているのかは、僕の知ったことではない。 別の日、いつもの場所でガラクタを漁っていると、珍しく楽器が散乱していた。 別に楽器を弾く趣味は持ち合わせていないが、いつも理解の範囲を超えていたガラクタの中に、 ようやく使い道の分かる物がでてきて嬉しくなった。 さっそく、目に留まった楽器を二つ拝借して持ち帰った。 一つは長方形に長い琴、もうひとつは大粒の涙の様な形の琵琶である。 どちらも大きく、他の楽器たちに比べ傷みも少なく、修復すればそれなりに使えそうであった。 修復といっても、音程の調節など高度な事は出来ないので、代わりといっては何だが、丁寧に丁寧を重ね磨きあげた。 二つともどこか誇らしげに、光沢を放っていた。本来ならこのまま露店に並べてしまうところだが、 何故かしらそのような気分にならず、部屋に置いたまま、僕は里へと出かけた。 数時間後、日も落ちてきたので商売を終え自宅兼小屋へ戻ると、女性の笑い声が聞こえてきた。はてさて泥棒か妖怪か。 恐怖心を押さえつけながら、恐る恐る引き戸を開けた。 「あ、おかえりー」 僕のお気に入りの火鉢を中心に、二人の女の子が鎮座していた。 一人は茶色のショートヘヤーで、両手を床につき両足をだらんとのばして座っていた。先ほど挨拶をしてきたのはこちらの方だ。 もう一人は頭に花飾りをつけ、長い薄紫の髪を二つに縛り垂らしていた。 お嬢様座りのまま、どこか冷淡な笑みを浮かべ、僕の方を見ていた。 この状況にどう対処していいのか分からず、とりあえず荷物を床に下ろした。 「突っ立ってないで一緒に座ろうよ」 チョイチョイと茶色い方が手招きするので、とりあえず二人と同じく火鉢を囲んで座った。 くつろいでいる二人に比べ、僕の方は若干緊張気味であった。なぜ自宅でこのような理不尽な気分にならなくてはいけないのか。 そもそも二人は何故ここにいるのか。と、当たり前の疑問を、僕は彼女たちにぶつけてみた。 それを聞くと、二人は申し合わせたかのように不敵な笑みを見せた。 「ずいぶんな言い方じゃない?私たちを連れ込んだのはあんたじゃないか」 と、薄紫の方。 「でも強引なお誘いは嫌いじゃないよ、ふふふ」 と、茶色の方。 僕は訳が分からず首を傾げていると、二人は静かに目を閉じ、何かを弾くような動きをして見せた。 すると、弦楽器を奏でているかのような、心地よい音響が響いた。 そして何より、彼女達が奏でている音は、今朝拾ってきた琵琶と琴の音色であった。 付喪神。自身をそう説明した彼女達は、「我々は道具による世界征服をもくろむ秘密結社だ」と説明を付け加えた。 「丁度、活動拠点が欲しかったのよね、姉さん?」 「あんたを追い出して、此処を占拠しちゃおうかしら」 こちらをジト目でニヤケながら笑う二人を見て、僕はため息を漏らした。 追い出されて困るのは勿論だ。しかしながらこの小屋は独りで住むには少々持て余していたところだったので、 自分の仕事の邪魔をしないのであれば、拠点だかなんだか知らないが、別に住んでもらうのは構わない、と二人に告げた。 「ホントに?!わっほーい!やったね姉さん!お家に住めるよ!」 はしゃぎ回る茶髪を横目に、姉の方は訝しげに僕を睨んでいた。 「……もし妹に手をだしたら承知しないんだから」 妹とはおそらく、今調子に乗って逆立ちしている彼女のことだろうが、妖怪に手を出すほど飢えてはいない。 そう姉に告げると、彼女は首を傾げた。 「……ホモ?」 やっぱり追い出すべきであったと、少々後悔した。 あれからというもの、弁々と八橋は、別に強制した訳でもないのに、掃除や洗濯、ゴミだし等々、積極的に荷担してくれた。 「そりゃあ住まわせてもらってるんだもの、コレくらいは当然!」と、八橋。 「ま、一応私たちの家だし」と、弁々。 正直なところ、ずぼらな一人暮らしをしていた僕にとって、非常に有り難かった。 いつもテンションが高く、良くも悪くも軽くて明るい性格の八橋。 姉さんというより姉貴と呼ぶ方がしっくりくるほど厳しいところもあるけれど、事あるごとに優しくフォローしてくれる弁々。 素敵な姉妹であり、ナイスコンビでもあった。そしてなにより二人とも可愛らしく、そのことで僕は悩ましさを感じていた。 ある日の夕方。料理当番の弁々が里に買い出しでおらず、八橋のとくに意味の無いマシンガントークが、僕を襲っていた。 「あ、思い出した!」 そういって会話を一方的に打ち切った八橋は、タンスを開け布団の下から白い箱を取り出してきた。 「じゃじゃーん!おまんじゅ~」 箱の中に、雪の様に白い大福がいくつか詰まっていた。 「ホントは独り占めしようと思ってたんだけど、出血大サービス!一緒に食べよーずぇ!あ、姉さんには内緒ね」 いつの間に大福を…と、思いつつも、一口摘んでみる。口の中にとろける甘さが広がっていった。 「あ~ん」 何故か八橋は大福を手に取ろうとせず、大きく口を開け待機していた。 「あ~ん!あ~~ん!!」 早くしてくれと言わんばかりに声を荒げる八橋の口に、僕は大福を手に取り放り込んだ。 「ん~!あま~い!」 とろけ落ちそうなほっぺを両手で支えながら、八橋は喜んでいた。大福もこれだけ喜んでもらえれば本望だろう。 「あ~~ん」 ……やれやれ、と僕は溜息をついた。 結局、最後の一個になるまで、僕は八橋に大福を食べさせた。そして残り一個を八橋の口に入れる。 「ん~ん~~」 しかしここで問題が発生した。八橋は僕の指ごと加えてしまったのだ。慌てて引き抜こうとすると、 八橋は僕の手首を両手で掴んだ。 そして指先から付け根、そしてまた指先へと八橋の舌が行き来していた。 お、おい、と抗議するも、背徳感のある興奮が僕を襲い、八橋に対し強くでることが出来なかった。 「ぷは~。ほら!手に付いてた饅頭の粉、綺麗に舐め取ってあげたよ」 悪びれる様子も無く、八橋はニッコリと笑って見せた。 また別の日の夕方。 「ねぇ、ちゃんと髪切ってる?ちょっと伸ばし過ぎじゃない?」 弁々にいきなり髪を掴まれ、驚いているとそんな質問をされた。 たしかにここ数ヶ月行きそびれていたなぁ、と答えると、弁々はふぅむと小さく頷いた。 「せっかくだし、わたしが散髪してあげるよ」 それは大変有り難い申し出であったが、腕に自信はあるのかと聞くと、弁々は私を誰だと思ってるの?と自信満々に答えた。 むしろ弁々だからこそ不安なのだという気持ちを僕は生唾と一緒に飲み込んだ。別に失敗しようが死ぬ訳では無いのだ。 弁々は僕を縁側に座らせ新聞を首周りに巻き、櫛で髪をとかした。そしてハサミを取り出すと後ろ髪から切り始めた。 軽快な切断音と共に、弁々の鼻歌が聞こえてきた。 穏やかな休日の午後としては、この上ない贅沢な過ごし方であったが、内心僕は穏やかではなかった。 後ろから吹いてくる弁々の吐息、撫でるように触れてくる弁々の指先に、心臓を揺さぶられるほどの心地良さを感じ、身じろいだ。 「危ないからじっとしてて」 ごめん、くすぐったかったから、と謝り、出来る限り何も考えないよう努めた。 そうこうしているうちに、次は前髪を切るから、と弁々は僕の前に回り込んだ。 そして弁々がしゃがみこむと、僕と弁々の顔が握り拳一つ分の至近距離まで迫った。 あまりに近くで視線がバッチリ会ってしまい、お互い赤面してほぼ同時に視線を外した。 「か、髪が目に入っちゃうから、閉じといてよ」 言われたとおり僕は目を閉じた。そして弁々は前髪を掴み、切り始めた。 しかし先ほどの状況のせいで、弁々の吐息をより強く感じ始め、心臓は鼓動を早めた。 あとほんの少し顔を前に出せば、弁々と口づけ出来てしまう状況に、僕はどぎまぎした。 もちろんそれをしてしまえば、もう弁々は二度と口を聞いてくれなくなるかもしれないし、 それ以上に恐ろしいことに成りうることぐらい分かっていたので、必死に衝動を押さえた。 「うん!まずまずってところかな」 散髪はなんとか無事に終わり、弁々は手鏡で僕に確認を求めた。 まずまずどころか、いつも通っている散髪屋より綺麗にカットされていたため、むしろ驚かされた。 その感想を正直に答えると、弁々は満面の笑みを見せ頷いた。 「うんうん、前よりカッコよくなったじゃない」 弁々の笑みにつられ、僕も微笑んだ。 あくる日、いつもの様に仕事を終え帰宅すると、弁々と八橋が正座したまま火鉢を囲んでいた。 弁々はともかく、いつもだらーんとしている八橋まで正座待機している異様な光景に、僕は腰を抜かすところだった。 ……しかし思いかえせばここ数日、二人の態度はどこかよそよそしかった。弁々も八橋も、どこか僕を避けてる、 そんな空気を感じていた。いくら鈍感な僕にも、それくらいは分かっていた。 原因はいったい何だったのだろう、と考えていると、八橋が気まずそうに僕を見ながら口を開いた。 「あ、あのさ、○○ってさ、その……」 いつもの軽快さはどこへ行ったのか、八橋は口ごもりながら何かを問いかけてきた。 「……」 しかしよほど聞きづらい事なのか、結局俯いてしまった。それを見た弁々は、いよいよ決心したのか、 僕ときっちり視線を合わすと、口を開いた。 「私と八橋、どっちが好きなの?!」 沈黙。こんな重荷を背負わされるならば、海の底で物言わぬ貝になりたい。誰にも邪魔をされずに、海に還れたらいいのに。 しかしいくら頭の中で嘆いても、目の前の沈黙を破れるのは僕しかいなかった。不安と期待を込め、上目遣いでこちらを見てくる八橋。 どんな結末であろうが、真摯に受け止めようと鋼の意志を込めた視線を送ってくる弁々。 そんな真剣な二人を前に、適当な返事をするわけにはいかない。……。僕は、二人に自分の前まで来るよう合図した。 疑問を抱きながらも、二人は僕に近寄ってくる。そして僕は二人を一緒に抱き寄せた。 「ふぇぇ?!」 「はっ?!」 驚いて声をあげる二人に、僕はそっと口を開く。二人とも愛してる。嘘偽り無い本当の気持ちだよ。 わがままに聞こえるかもしれない、呆れてるかもしれないけれど。どんなに落ち込んでても、側にいるだけで笑顔にしてくれる八橋。 叱咤激励して背中を押してくれる弁々。二人ともずっと側にいて欲しい。 「……」 「……」 僕から解放された二人は、顔を見合わせた。そして僕の方を見て一緒にニッコリと笑った。許された――。 そう安堵した瞬間、左から弁々、右から八橋の平手打ちが飛んできた。 「この浮気者!私と言うものがありながら!」 「ちょっと待ってよ!私が先に好きになったのよ!後から来て横取りだなんて狡いわ姉さん!」 「良いじゃないの。あんたの手ぬるい誘惑じゃあ無理よ。この鈍感男を魅了するのは」 「……プッ、あはは!まぁいいや、姉妹で恋人共有するのも悪くないよね、姉さん?」 「えぇ。二人一緒に養ってもらえば良いだけだもの」 そうして、この大森林の小さな家に、付喪神である義姉妹の不敵な笑い声が木霊した。 晩秋。ひんやりとした月明かりを布団越しに身に受けながら、僕は身じろぎ一つ満足に出来ないでいた。 左手足を弁々、右手足を八橋にがっちり固められているためだ。いわゆる左右からの同時だいしゅきホールドである。 弁々が空気の抜けるような静かな寝息に対し、八橋はまるでわざと発音しているかのように、スゥスゥと寝息をたてていた。 二人の幸せそうな寝顔を見ていると、自分は随分遠くまで来てしまったようだと感傷深くなった。 答えのない毎日が、ただ過ぎていく時間が、これから先どうなるのか分からない。僕は窓からぼんやり見える月に願った。 この愛おしい二人の付喪神といつまでも仲良く暮らしていけますように、と。 「○○……」 僕は驚いて八橋の方を見る。しかし八橋の目はしっかりと閉じられていて、どうやら寝言のようであった。 「ずっとずっと『憑』いてるからね……ふふふ……」 ……ああそうだね、と僕は誰に言うでもなく呟く。そして二人それぞれにおやすみの挨拶をし、沈んでいく意識に身を任せた。 Megalith 2013/09/28 毎日の厳しい仕事に一段落がつき、短い休みを満喫すべく家に帰ると 「お帰りなさい、○○さん。お仕事お疲れ様です。お腹……空いてるでしょう? もうすぐご飯が炊きあがりますから、少し待っていてくださいね。」 妖夢ちゃんが、さも私の妻であるかのように振る舞い料理を作っていた。 何をしているの? と、たずねてみたところ、妖夢ちゃんは照れた顔で 「その……最近○○さんが凄く疲れた顔をしていらしたことが多かったので、たまには楽をさせてあげたいなって、その、思って……」 と、答えながら、私の元に近づき、私の荷物を取り上げていった。 不法侵入や破壊された玄関の鍵のことなど、いろいろツッこみたいこともあるが、せっかくの好意なので、ごちそうになることにした。 少し後ろめたそうな顔をしていた妖夢ちゃんは、それを満面の笑顔に変えて 「ありがとうございます! それじゃ「おい、ここに半人半霊の不審者がいるって聞いたがおまえか? (ハートの)泥棒は許さないぜ」 本泥棒の魔理沙ちゃんを召喚した。 魔理沙ちゃんは私を妖夢ちゃんから引き離すと、箒で半霊を払いながら妖夢ちゃんへの不満を口にした 「勝手に男の家に上がり込んでお料理とかナニ考えてるんだよ! そんなフリフリでピンクなエプロンを着てお帰りなさいだなんて、別に彼女でも無いくせに。どうせ風呂に入る時に『お背中流させて頂きますね(はぁと)』とか、楽にさせるとか言っておいて、夜になったらベッドの上で運動しようとか考えてるんだろうらやま……じゃなかった、いやらしいんだぜ!」 「いやらしいのはあなたの方です! 私はただ純粋に○○さんの助けになりたいと思っただけで、別にあなたの言うような下心などありません! ……まぁ、○○さんが望むのであれば、同衾くらいしても……」 「やっぱりこいつ危険だ。おい○○、ちょっとついてこい」 魔理沙ちゃんは私を箒の上に無理矢理乗せると、一気に森の方まで飛ばしていった。 あっという間に魔理沙ちゃんの家に着き、そのまま半強制的にお邪魔することになった。 「おまえの家には変なのが住み着いてるみたいだから、今日は私の家に泊まっていけよ。……あぁ、お腹空いてるんだっけ? 待ってな、今すぐ飯作るから。」 そう言うと、エプロンっぽい服を脱ぎ、代わりにフリフリでピンクなエプロンを着け、キノコを鍋に放り込む作業に取りかかった。 「今日の夕食は魔理沙様特性のキノコスープだ。……毒? 大丈夫だよ、ここにあるのは全部、食べると元気が出る良いキノコだからな。本当に元気が出る奴でな、それはもう、夜になっても運動せずにはいられないくらい……ところでこの家にはベッドが一つしか」 次の瞬間、視界に豪華なご馳走が映る。 周りの風景は、ゴミだらけだった部屋から、整えられた真っ赤な部屋にリフォームされており、目の前にあるテーブルをはさんだ先には、咲夜さんが頬杖をつきながらこちらを見つめていた。 「こんばんは、○○。魔理沙に拉致されたあげく変なものを食べさせられそうになってたみたいだから、勝手に連れてきちゃったわ」 てへっ(はぁと)、とでも言っているかのような顔で笑うと、咲夜さんは私の口元にスプーンを近づけた。 「おゆはん、まだでしょ? 勝手なことをしたお詫びに食べさせてあげるわ。はい、あ~~~ん」 突然の展開で混乱ぎみだった私は、そのままスプーンの上で揺れる小さなご馳走にためらいなくかぶりついてしまった。……うまい。 「どう? ○○の好みに合わせて作ってみたのだけれど、お口に合うかしら? ……ふふふ、そんなに美味しそうに食べてもらえると、私も凄く嬉しいわ」 そう言うと、咲夜さんはスプーンをこちらに手渡してくれた。 私はそのまま自分の食事を続けようとしたが、その私の手を、咲夜さんが両手で握り、食事の邪魔をする。 「ねぇ、○○。お願いがあるのだけど……今度はあなたが私に食べさせてくれないかしら? ……うん、その一つのスプーンで食べさせあいっこ、よ。あとできたらベッドもひと」 再び場所は変わり、今度は博麗神社の境内に私はワープしていた。 目の前では、やたらと嬉しそうな顔をした霊夢ちゃんが、飛び跳ねながら私の元に駆け寄ってきた。 「あら、悪いわね、○○。自由にワープができるようにするための修行していたのだけど、どうやら私じゃなくて○○をワープさせちゃったみたいなの」 ごめんね~、と、まったく悪びれる様子もなく謝罪した霊夢ちゃんは、私の腕を引っ張りながら神社の中へと戻っていった。修行? 霊夢ちゃんが? 「今日はもう遅いでしょ? 今夜はここに泊まって行きなさい。連れてきちゃったお詫びになんでも言うこと聞いてあげるからさ、ね?」 お願い~、と、甘えてくる霊夢ちゃんをなだめながら、私は咲夜さんと魔理沙ちゃん、妖夢ちゃんにどう謝ろうか考えていた。 そんな私を見て不快に思ったのだろうか、霊夢ちゃんは不機嫌な声をあげて私の頬をおもいっきりつねった。 「これから女の子と二人っきりという時に、○○はいったい何を考えているのかしらねぇ? まさか他の女の子のことを考えてるなんて言わないわよねぇ?」 よほど気に入らないのか、それとも他に何か理由があるのか、霊夢ちゃんの顔には鬼気迫ったものがあり、私の頬をつねる手は、明らかに女の子が出していい力を超えていた。 「今日こそ本気なんだから……せっかくのチャンスを見逃すわけにはいかないんだから……」 らりがれふか?(何がですか?) 「女の子を釣るだけ釣りまくってエサをあたえず、こんな苦しい思いばかりさせて……最低よね、女の敵だわ。でもアンタの悪行もこれで終わりなんだから……」 そう言った霊夢ちゃんの顔は、鬼の面から、病気に苦しむ子供のような弱々しい表情に変わっていた。 そんな顔を、私の顔にぶつかるギリギリまで近づけ、やがて唇が触れあう距離まで…… 近づくことは無かった。 先ほどまで地に足をつけていたはずの体は落下し、世界は無数の眼と一体の賢者のものとなっていた。 気づけば、私は見覚えのある闇の中、不自然に置いてあった椅子の上に鎮座していた。 「久しぶりねぇ○○。本当に久しぶりねぇ○○。」 私を霊夢ちゃんから遠ざけ、このスキマの中へ落とした犯人、紫さんは、怒りをあらわにしながら、私の太ももの上をまたがるように座り込んだ。 周りからから見たら、入ってるように見えるかもしれない。 「私が冬眠をしている間に、随分とまぁ、たくさんの女の子をたぶらかしたみたいじゃないの。それも私の幻想郷の有力者ばかり」 そんなことはしていませんと私は伝えたが、紫さんは私の言葉を聞いてはくれない。 そればかりか、その顔からうかがえる怒りはさらに大きなものとなっていた。 「あなたは……危険。そう、危険なのよ。まさか霊夢まであなたに夢中になるなんて。これ以上あなたを自由にさせたらどんな異変になるのか……いえ、これはもう異変よ」 紫さんは、私の背に手をまわすようにして抱きついてきた。心臓の鼓動を感じる。 「だからあなたは退治されるべきなの。でも巫女は動かない。だから私があなたを退治するわ。でも殺すのはかわいそうだから管理にしてあげる」 紫さんの脈動が早くになっていることに気がついた。 「もともとあなたは私の僕になってもらうためにここ(幻想郷)に連れてきたのだから、まぁ当然よね」 僕は嫌だなぁ、と正直に伝えた。 「生意気な人間ね。そんなに僕が嫌なら……嫌なら………………私の……………………………………………旦那様にな「ゆかりぃ~~?」 いったい何をどうやって来たのだろうか、霊夢ちゃんは突然目の前に現れ、紫さんを私から引っぺがした。 「私がいつ動かないって言ったのよ。なんなら今私が○○を退治するから!」 「ついに私の白楼剣が紫様のスキマをも断ち切る領域に……!」 「時空をねじ曲げてたら、いつのまにか○○の元にたどり着いていたわ」 「咲夜を追いかけてたら、なんかたどり着いたんだぜ」 「ちょっ、これまじ異変 ごめん、ふざけすぎた。しかもあんまイチャついてないね。 追記:環境依存文字の修正しました。 Megalith 2014/09/26 幻想郷に迷い込んで早数年。 ここでの暮らしにもすっかり慣れ、決して豊かな生活ではないが、多くの友に恵まれて私は充実した時を過ごしている。 たまに家族の顔を見に、霊夢さんに頼んで故郷に帰ることもあるが、それを除けば私はほぼ完全にこの異郷の地の住人である。 今日はその故郷からの帰りで、私は再びこの幻想の地に戻ってきたところだ。 「お帰りなさい○○さん。ご家族はお元気だった?」 出迎えてくれたのは、境内の掃除を済ませ、参拝客を待ちながらお茶をすする霊夢さんだった。 「疲れた顔してるわね。ちょっと待ってて、お茶入れてあげるから」 私に向けて座布団を放り投げた赤い巫女さんは茶碗を棚から取り出し、すでにぬるくなったお茶を私のために淹れてくれた。 私はバッグに詰め込んだお土産を机に広げると、それを食すため、霊夢さんも自分の分のお茶を再び淹れ直した。 「お~い霊夢! 特に用はないけどヒマだから遊びに来てやったぜ……って、いつの間に帰ってたんだよ○○。帰ってたなら私の所に顔を見せろよな……おかえり○○」 突然の来訪者、魔理沙さんは文句を垂れながら私の元に駆け寄ると、私の肩に頭を寄せるように座り込み、すぐ近くのお土産に手を伸ばした。 「霊夢! 私にも茶を淹れてくれ」 「悪いけど今ので最後よ。欲しいなら新しいのを買ってきなさい。欲しくなくても○○さんから離れなさい」 「そう。じゃあ○○のをもらう」 魔理沙さんは私から離れることなく、私の飲みかけのお茶をすすりながらお土産のケーキを口に放り込もうとし…… 「見たことのないお菓子ね。これは外の世界のケーキなのかしら?」 咲夜さんの口の中に放り込まれた。よく見たらお茶も消えていた。 「おい、それは私のだぞ! 泥棒はいけないんだぜ!」 「いつもあなたがパチュリー様の本を盗むのを見逃してあげてるのはどこのだれだったかしら? たまにはあなたの方が見逃してくれてもいいのではなくて? 八卦炉もくれなかったし……そもそもこれはあなたのではないでしょう? 快くお茶をくれる○○さんを少しは見習ったら?」 くれてません。と突っ込みたくなるのを抑え、私は時を止めて現れた新たな来訪者、咲夜さんに『ただいま』とだけ声をかけた。 「はい、お帰りなさい○○さん。帰ってきてたのでしたら、次からは我が主の館まですぐに挨拶に来てくださいね」 咲夜さんはそう言って、私に身を寄せる魔理沙さんの反対側に回り込み、同じように私に身を寄せながら座り込んだ。 「両手に花で嬉しそうねぇ○○さん。1回爆発しとく?」 『爆』と書かれた不吉なお札を構える巫女を確認した2つの花は、巻き込まれまいと早々と散り、他のお土産に手をつける。 それを見た霊夢さんは、自分のために淹れたはずの最後のお茶を私によこしてくれた。 「○○さん、そろそろ起きてください。もう鴉が泣いてる時間ですよ」 霊夢さんに揺さぶられ、私の意識に遅い覚醒が促された。どうやら私はうたた寝をしていたようだ。 視界には、まだ帰っていなかった魔理沙さんと咲夜さんの顔が大きく映っていた。 「ずいぶん長いお休みだったな。よっぽど疲れてたみたいだな○○。よだれが垂れてるぜ」 「フフフ……だらしない人ね」 咲夜さんはハンカチを取り出して私のよだれを拭うと、そのまま帰る支度を始めた。 「私はそろそろ帰るわ、おゆはん作らないといけないし。良かったら○○さんも館に来ない? ご馳走するわよ」 「○○さんが吸血鬼のご馳走になる、の間違いじゃなくて?」 (どちらかと言えば私の方をご馳走にしてほしいのだけれどね……) (同感だが草食動物だからありえないぜ……) 途中から小声になって2人の声が聞こえなかったが、しばらく空けていた家を確認したかった私はさっさと自分の家に帰ることにした。 「なら私の箒に乗ってけよ。家まで送るぜ」 「魔理沙、送り狼はやめてよね」 「本は盗んでも泥棒猫にはならないと信じてるわ、魔理沙」 「変な事を言うな!」 直接家には帰らず、私は魔理沙さんと一緒に夕食の食材を求めて市場に降り立った。 今日は魔理沙さんが私に料理を振る舞ってくれるそうなので、お言葉に甘えることにした。 もっとも、お金は私もちだが。 「何にしよーかなぁ……○○は何が食べたい? 肉? 魚? それともキノコか? ……おっ! あの鶏肉かなり安いぜ、あれにしよう!」 安売りされている鶏肉に気付いた魔理沙さんは嬉しそうに駆け寄り鶏に手を伸ばしたが、その手は別の鳥の手によって乱暴に弾かれた。 「○○さんは鶏をお食べになりませんよね~。それよりもほらっ、向こうのお魚屋さんに活きのいい美味しそうな秋刀魚がありましたよ~、あれにしませんか?」 射命丸文……鶏を守る鴉の少女はそう言いながら私に近寄ると、私の両の頬をグネグネと引っ張り上げた 「お帰りなさい○○さん。帰っていながら私に報告の1つも無しとは一体全体どういう了見なのでしょ~か」 幻想郷に帰ってきたばかりだというのに、報告の遅延を注意されたのはこれで3回目か。 ただいま帰りました。私はそう言って、頬を引っ張る文さんの手の甲に私の手を重ねた。 頬への攻撃を止めるよう促したつもりだったが、何を思ったのだろうか、文さん顔を赤くして、すぐさまに手を引っ込めた 「なんだよ文、おまえも私の料理が食べたいのか? 別にいいぜ、おまえの分の鶏からあげも作ってやるよ」 「○○さんにこの世の物とは思えぬおぞましい料理を食べさせないでください。秋刀魚にしましょう、ほらっ、○○さん秋刀魚ですよ秋刀魚っ! おいしいですよ~」 「いいや! 今日は鶏だ、鶏にするんだっ! そうだよな○○」 鳥の目の前で鳥を勧める魔理沙さんと、海無き大地で捕れる謎の魚を勧める文さんに服を引っ張られる私は、服を破かれる前に早々に決断をしなくてはならなかった。 私は魔理沙さんの頭を帽子の上からポンポンと撫で、秋刀魚の代金を支払うべく財布を取り出し、そして元いた世界のお金しか持ってきていなかったことに気付いた。 「ご馳走様でした!」 「……ごちそーさま」 なぜか文さんも私の家に上がることになり、先程まで私たち3人は同じ机を囲んで食事をとっていた。 すねた魔理沙さんの代わりに振る舞ってくれた文さんの料理を3人でいただき、後は体を洗って寝るだけになった私は、まだ機嫌が良くならない魔理沙さんを横目に風呂の準備に取り掛かった。 「……風呂に入るのか?」 魔理沙さんも一緒に入る? ……冗談のつもりで私はそう言った。 食器を洗っていた文さんに物凄く睨まれたような気がしたが、笑ってスルー。 そろそろ家に帰るよう2人にそう促したが、まだ居座るつもりのようだ。 それだけであれば結構なのだが、魔理沙さんの口から出てきた言葉はとんでもないものであった。 「じゃあ……背中流してもらおうかな」 台所で皿の割れる音が聞こえた。 「一緒に入るんだろ? ほら、早く風呂沸かしてこいよ……」 魔理沙さんの顔は真っ赤になっていた。文さんの顔は真っ青だった。 「なんでお前まで入るんだよ、狭いんだぜ、特にその羽のせいで!」 「○○さんが変な気を起こさないか見張ってるのですよ、ねぇ○○さん。さっきから視線が怪しいですよ」 混浴はマズイだろうとは思った。 しかし、物言わぬ魔理沙さんの目を見たら断りづらくなってしまい、若干の下心もあってか、なし崩しに背中を流すことになってしまった。いや、なってくれた。見張りもセットで。 2人はタオルを巻いていたが、それは非常に薄く、濡れた体にピッタリと張り付いてボディのラインをきめ細かく映しだしており、その内側に隠しているはずの肌の色は、わずかながら防ぎきれずに外部へと漏れていた。 我が家の浴槽は男1人で入るには十分すぎる広さであったが、そこに羽を生やした者も含む女性2人を入れてしまうと、どうしても体が触れざるをえない狭さだ。 今現在、私は2人の女性に挟まれている。 私の背中には文さんの胸があたっており、2つの足の間には魔理沙さんがちょこんと座っていて動けない状態だ。 「……どこ見てるのよ」 赤かった魔理沙さんの顔はさらに真っ赤になり、胸を両腕で隠しながらそっぽを向いてしまった。特にどこか見たつもりは無かったのだが。 「いいえ~見てましたねぇ~、特に胸の辺りを」 後ろにいるはずなのに私の視線をなぜか指摘できた文さんは、買い物の時より10倍以上の大きな力で私の頬を引っ張り上げた。どうやら妖怪の力を余すことなく全力でやっているようだ。 これ以上怒らせる前に私は逃げようとしたのだが、まだ逃がさんと体をつかまれてバランスを崩してしまい、あろうことか、唯一魔理沙さんを守っていた薄いタオルに手を掛けて思い切り引っ張ってしまった。 ……時が止まる。 「あっ………あぁ……………………あっあっ……………………!!!!!」 声にならない声を上げて泣く魔理沙さんに対して、自分も人とは思えぬ声で謝りながら大至急その場を脱出しようとしたのだが、悲劇……もとい、幸運助平は続き、復讐のつもりなのか、魔理沙さんは文さんが持つタオルを奪い取って自分の鎧にしてしまったのだ。 そして……私はそれを見てしまった。 ……再び、時が止まった。 文さんは一瞬凍りつき……爆発した。 「……………………っっ??!?! キャァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」 「なにごとっ!」 「なっなに?! なにがあったの!!」 「」 「」 「」 「」 文さんの悲鳴。そして、突如現れた霊夢さんと咲夜さんの乱入によって、体を温めるためのはずの場所である風呂場に短い氷河期が訪れる。 「あなたからサイフを預かっていたのを思い出してね。夜に訪ねるのもどうかと思ったけど、なるべく早い方がいいと思って届けに来たのよ。んで、来てみて正解だったようね」 抜け駆けしようとするからこうなるのよ。霊夢さんは、魔理沙さんと文さんを交互に睨みつけながら自分がここに来た理由を説明してくれた。 「つい先程お嬢様がお目覚めになられたので、○○さんが外界からお戻りになられたことをご報告しましたら、連れて来いと……」 咲夜さんも呆れながら自分がここに来た理由を説明してくれた。たしか咲夜さんは、おゆはんを作ると言って帰ったはずだが、先程起きたということは、あれはレミリアさんにとっての朝食だったのか? 私は夜遅くにわざわざ来てくれた2人のためにお茶を出そうと棚をあさっていたが、体が冷えたせいか、思いがけず大きなくしゃみをしてしまった。 「あらあら……湯冷めしちゃったのかしら。湯船にゆっくり浸かれなかったようですし。もう一度入り直しませんか? 紅魔館にいらしてくれれば、何十人でも入れる大きな大きなお風呂でお背中を流してさしあげますよ」 騒動の2人から冷やかな視線を送られて少したじろいだ咲夜さんだったが、構うことなく、今の季節には少し早いコートを私に着せようとした。 仕事は明後日からなので、少しの夜更かしを決め込んだ私は霊夢さんにお礼を言い、そのまま出かけることにしたのだが…… 咲夜さんは霊夢さんに引き止められ、新たな騒動を予期する言葉を投げかけられていた。 「ねぇ咲夜。私もそのでっかいお風呂に入れさせてくれない? できればみんなで一緒に」 続きません。
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■同作者による長編SS ハーレムSSその1 登場人物~京・照・咲 ハーレムSSその2 登場人物~京・照・咲・和・優希 ハーレムSSその3 登場人物~京・照・久・まこ ハーレムSSその4 登場人物~京・照 ハーレムSSその5 登場人物~京・咲・和・優希・照 ハーレムSSその6 登場人物~京 new!11/30 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (長編SS一覧)